打つ方も守る方でも大きな貢献

 11月27日、ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。シリーズMVPを獲得したのは中村悠平捕手(31)。中村は今季が3年契約の最終年で、国内フリーエージェント(FA)権を有する。他球団は彼をどう評価しているのか?

「ヤクルトは今季を迎えるまで2年連続最下位で、さらに今季は開幕戦で阪神に3タテを食らうという最悪のスタートでした。それでも日本一になることができた要因の1つが、中村の存在でしょう」

 と、プロ野球担当のデスク。昨季はケガなどで29試合の出場にとどまったが、今季は復活して123試合に出場して.279を記録した。

「チーム打率こそ.254と3位ですがチーム得点は625と唯一の600超え。最低の中日は405ですから、その破壊力の大きさは推して知るべしでしょう。塩見泰隆に山田哲人や村上宗隆、オスナやサンタナといった強力打線を支えた面々に目が行きがちですが、中村が2番や6番に入ることで打線が切れ目なく繋がったことも大きい。中村は数字以上に勝負強く、良いところで打ったなぁという印象がありますね」

 守りの面については、チーム防御率は昨季4.61だったのが3.48(リーグ3位)と大幅に改善した。

評価を聞いてみたい

「チーム防御率は狭い神宮を本拠とするチームにしては悪くない数字ですが、それよりも与四球がリーグ最少なんですね。1試合あたりで見ても、昨季なら3.5個程度与えていたのが今季は2.5個ほどに減りました。球場が狭いのを気にしてナーバスになり四球が増えていた点を意識改革で克服したということもあるでしょうが、中村の存在は大きいですね」(先のデスク)

 プロ野球担当の記者は、後半戦のヤクルトの快進撃に触れて、

「ヤクルトの後半戦は31勝18敗9分で勝率6割超はリーグ唯一。それを支えたのは突出した存在のいない投手陣を好リードした中村です。1試合あたりほぼ4点を失っていたのですが、後半戦はこれが約3点に減りました。防御率も同様に改善しており、一方で強力打線は好調を維持したので勝ち続けたわけです」

 その中村は今季が3年契約の最終年で、国内FA権を保有する。

「中村自身、FAの権利が得られることを見越し、外へ出るか否かは別としてまずは自分の評価を聞いてみたいと考えてきたようです。そのために実力をできるだけアピールしておくべきだと、今季はいつも以上に気持ちがこもった1年でしたね」(同)

金欠で選手の獲得を断念

 この記者が続ける。

「最下位から日本シリーズを制したことで当然、達成感があると思います。その中で、どうしたらモチベーションを維持することができるのかは大きいはず。同じ球団でもう一度頂点を目指すのか、あるいは別のチームに入ってナインを鼓舞して優勝・日本一を手にするのか……。ちなみに、正捕手を固定できずにいる巨人はすでにアプローチしていると聞いています」

 選手を引き留めるために球団に求められるのは誠意であり、それを裏付ける長期・大型契約だろう。ヤクルトは昨季、FAを取得した山田哲人内野手(29)、小川泰弘(31)、石山泰稚両投手(33)を残留させるため、多額の契約を結んでいる。

「山田は7年計40億、小川は4年計7.5億、石山は1.5億(4年契約)とされており、今季からしばらくの間、出費がかさむということになります。実は昨季から今季にかけて、外国人、日本人、様々な選手の獲得話が浮上しては消えたのですが、金欠がその理由です」

 優勝し日本一を達成した今、総年俸のアップは不可避と見られる。今季の年俸9000万円の中村に大盤振る舞いと言うわけにはいかないとなった時、残留への切り札は存在するのか?

「仮に他球団の条件が上回っていたとしても、ヤクルトが『背番号27』を用意するというのがあると思います。球団のレジェンド、古田敦也氏がつけていたものですね。永久欠番ではないものの、『神聖にして不可侵』的な扱いを受けています。中村も春のキャンプで古田氏から指導を受けて開眼した面があり、27の提案に心動かされるのは間違いないでしょう」(先のデスク)

 正捕手がFA市場に流出することは稀だ。今オフ、選手の動向としては最注目となっている。

デイリー新潮編集部