昨年の日本一で自信をつけたオリックス
開幕を前に恒例の順位予想をしたい。
【2022年パシフィック・リーグ順位】
(1)オリックス (2)ソフトバンク (3)西武 (4)楽天 (5)ロッテ (6)日本ハム
【2023年予想順位】
(1)オリックス (2)ソフトバンク (3)ロッテ (4)西武 (5)楽天 (6)日本ハム
パ・リーグは昨年の日本一で自信をつけたオリックスだろう。特に投手陣は質量ともに抜群だ。山本由伸、宮城大弥の二枚看板を軸にリリーフ陣のコマもそろっている。
主砲の吉田正尚がレッドソックスに移籍したが、西武から森友哉が加入した。1年目の新天地では気持ちを切り替えて活躍する可能性が高い。杉本裕太郎とのコンビは強力だし、攻撃陣も多士済々の顔ぶれがそろう。吉田の穴を埋めるだろう。
2位はソフトバンクか。オフに大型補強などやれることをやった。戦力的には優勝してもおかしくない。特に日本ハムから移籍して来た近藤健介には期待できる。打線の様相がガラリと変わる。主砲の柳田悠岐の前に置き得点力アップが可能だ。
メジャーに移籍したエース・千賀滉大の穴を誰が埋めるかだが、新たに獲得した有原航平やジョー・ガンケルがどれだけできるかにかかっている。
3位はロッテとみた。ただし条件がある。佐々木朗希が1年間頑張り抜いて高い勝率での2ケタ勝利を挙げることだ。佐々木が投げた試合は負けない。こんな神話ができたら、しめたものだ。
先発陣は小島和哉、美馬学、C.C.メルセデスらが顔を連ねる。ロベルト・オスナが退団した救援陣は澤村拓一を中心に補充するだろう。打線は元々しぶとい。昨季16本塁打の山口航輝にも佐々木同様に注目したい。
全体の戦力としては見劣りがする日ハム
4位は松井稼頭央新監督が率いる西武とした。昨季のチーム防御率は2.75でリーグトップだった。今季も先発投手陣は厚い。平良海馬も中継ぎから転向した。中継ぎ陣も水上由伸を中心に充実している。松井監督は足を使った攻撃、機動力野球を打ち出している。果たしてどれだけ徹底できるか。3番に座っていた森が抜けた。これもポイントだ。主砲の山川穂高を生かしたい。
5位は楽天とした。開幕投手を務める田中将大が2ケタ勝利を期待されているが、さてどうなるか。則本昂大、岸孝之との3本柱が1年間通して先発ローテを回していけるか。打撃陣は新主将・浅村栄斗が引っ張ることになる。外国人のクリス・ギッテンス、マイケル・フランコの活躍が大きなポイントになろう。
最下位は日本ハムとした。投手陣は加藤貴之、上沢直之、そしてWBCで存在をアピールした伊藤大海の3本柱をメインに、打者では松本剛、野村佑希、清宮幸太郎が中軸を担うことになる。特に昨年首位打者の松本が打線をけん引する。だが、全体の戦力を他球団と比較すると見劣りがする。2年目の新庄剛志監督がチームをどうやって引っ張っていくか。見ものだ。
いずれにせよパはオリックスとソフトバンクが2強、ロッテ、西武、楽天の3球団は特にこれだと推せる材料がない。順位は流動的で日本ハムの最下位は堅いと思うが。
7番・坂本は相手投手にとって楽
【2022年セントラル・リーグ順位】
(1)ヤクルト (2)DeNA (3)阪神 (4)巨人 (5)広島 (6)中日
【2023年予想順位】
(1)巨人 (2)ヤクルト (3)DeNA (4)阪神 (5)広島 (6)中日
巨人OBとして願望を含めて巨人を優勝に推したい。菅野智之が開幕ローテから外れるなど投手陣が心配だが、そのうち必ず再整備するはずだ。昨年は外国人投手が機能しなかった。Bクラスに落ちた大きな原因の一つだった。防御率も12球団ワーストだった。今年はフォスター・グリフィン、タイラー・ビーディの二人に期待できそうだ。戸郷翔征、大勢のWBCコンビもやるだろう。
攻撃陣は充実している。オコエ瑠偉の評判が良く1番での起用案が出ている。坂本勇人は7番とか。私はこれには大反対だ。1番・吉川尚輝、2番・坂本、3番・丸佳浩、そして4番・岡本和真、1、2番が入れ替わることがあってもこの四人はシーズンを通して使ってもらいたい。
7番・坂本は相手投手にとっては楽だ。上位打線の方が嫌がる。チームの事情はあろうが相手の目線で見ることも必要だ。1番に浮上したオコエは下位で使って活躍すれば儲けものと思った方がいい。原辰徳監督は昨年いろいろ試したが、今年は策を弄することなく構えてほしい。
2位はヤクルトか。2年連続のリーグ優勝で選手たちが自信を持ち、また1年間を通した戦い方を知っている。投打のバランスが良い。今年も大黒柱は村上宗隆だろう。WBCでは最後の最後で活躍した。三冠王の実績がある。大崩れはないと思う。強力打線の中にあって今年もチームをけん引する。退団した守護神、スコット・マクガフの穴は新外国人、キオーニ・ケラを中心に埋めていくことになると思う。
3位はDeNAか。戦力をチェックすると悪くない。投手陣ではサイ・ヤング賞に輝いたトレバー・バウアーが加入した。中心選手になるだろう。抑えの山崎康晃も健在だ。野手も攻撃的な布陣が可能だ。気がかりなのはレギュラーと控え選手の差が大きい点にある。シーズンは長い。ケガ人が出た時にどうするかだ。
安定感に欠ける広島、打線が問題の中日
岡田彰布監督が指揮を執って、前評判の高い阪神だが4位とした。もっとも阪神は毎年、前評判は高い。今年も投手陣は質量ともに抜け出ている。昨年はリーグ1位の防御率を誇った。打線は4番・大山悠輔、5番・佐藤輝明を中心に機能すれば得点力は上がるだろう。だが、どうしても気になるところがある。野球が雑だ。5年連続でリーグワーストの失策を記録している。どこかでボロを出したりポカをする。もうひとつ推せない。
まあ、いずれにせよ1位から4位に挙げた4球団はどこが出てきても不思議ではない。
5位は広島とした。戦力の顔ぶれを見ると悪くない。バランスもそれなりに取れていると思うが、上位進出ができるという材料に乏しい。安定感に欠けている。就任1年目の新井貴浩監督は「機動力」復活を掲げている。来年以降の上位進出を見据えた戦いになるのではないか。
最下位予想は中日だ。涌井秀章の加入などで投手陣は厚みを増した。守りの野球で上位進出を目指すが、問題は打線だ。昨季の総得点414、62本塁打は12球団最低だった。4番のダヤン・ビシエドを5番に下げて、新外国人のアリスティデス・アキーノを4番に起用する。貧打解消の突破口となるのか、注目したい。
さあ、ペナントレースがいよいよ始まる。私は巨人を中心に追いかけていきたい。
柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。
デイリー新潮編集部