ぬいぐるみの後ろにくくりつけられた砲弾

 2月にウクライナ侵攻を始めてから、ロシア軍側は現在までに3分の1の地上戦力を失ったと報じられている。それを裏付けるように、第二の都市ハルキウをはじめ各地でロシア軍の撤退が相次ぎ、これまでに千以上もの集落が解放されたという。しかし、避難民やウクライナ兵が不用意に集落に戻ることには多大なリスクがつきまとう。なぜなら、ロシア軍が仕掛けた非道な罠がそこかしこに張り巡らされているのだ――。

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 冒頭の写真はクマのぬいぐるみだろうか。避難した持ち主の帰りを待つ後ろ姿がなんとも哀れである。が、ロシア軍がほどこした仕掛けは信じがたいほど残酷なものだった。軍事ジャーナリストによると、

「後ろにくくられているのは、82ミリ迫撃砲の砲弾ですね。持ち運びやすく、かつ殺傷能力も高い。起爆装置とぬいぐるみが糸でつながっていて、砲弾を誘爆する仕掛けです。子どもがぬいぐるみを抱こうとして引っ張れば、家が木っ端みじんになることでしょう」

女性の機転で仕掛けられた手榴弾が見つかったケースも

 手榴弾もごろごろしている。木の幹に手榴弾がくくりつけられており、近くを通りかかった人がワイヤーに引っ掛かって安全ピンを外してしまうと、数秒後に爆発する仕組みなのだ。民家の棚に置かれたコップの中に手榴弾が入っているというケースもあるという。そのトラップの仕組みはといえば――。

「これはすでに安全装置が外してある状態で、コップの外に出してしまうと爆発します。戸を開けると同時にコップが倒れるようになっていたのでしょう」(同)

 あるウクライナ人女性は、帰宅後、ピアノの上のトロフィーの位置が変わっているのに気付いた。そこに不審を抱いた彼女の機転で、ピアノに仕掛けられた手榴弾が見つかった例もあったという。

 撤退するロシア軍の“置き土産”は残酷極まる卑劣なトラップだったのだ。

「週刊新潮」2022年5月26日号 掲載