「大相撲秋場所・12日目」(22日、両国国技館)

 平幕高安が関脇若隆景を引き落として3敗を守った。春場所の優勝決定戦で敗れた因縁の相手を退け、トップと再び1差に迫った。2敗の玉鷲を3敗の4人が追う展開となった。

 修羅場は散々踏んできた。痛い黒星から一夜。高安は崩れなかった。かち上げからのど輪で起こして突いて出ると、回り込もうとする若隆景を逃さない。俵に押し込んだところで引き落とし、土俵に這(は)わせた。

 春場所の優勝決定戦では、あと一歩まで追い詰めながら、若隆景の驚異的な粘りに逆転負け。悲願の初優勝を逃した。その一番も含めてこれまで2勝8敗と分の悪かった因縁の相手に快勝。「思い切り踏み込めたのでよかった。過去の対戦もあったので、今日は集中してできた」とうなずいた。

 優勝争いの経験は豊富。前日は消極的な相撲で3敗目を喫していたが「内容が悪かった。そこは反省して今日に生かせた」と、落ち着いて切り替えていた。この日は単独トップの玉鷲が敗れ、1差に縮まって臨んだ取組でも「集中するだけ」と心は乱れなかった。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「高安に求められるのは思い切り。気持ち的に思い切りいくこと。守りに入らない」と優勝のカギに言及。幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)は「単独トップじゃないから緊張せず取れるのでは。上(大関)の経験もあるし、ベテランですから」と追う者の強みをあげた。

 残りは3日で玉鷲、翔猿、錦富士と未対戦。「切羽詰まるより、落ち着いて相撲を取れるように心掛けている。たぶん玉鷲関とも当たると思うので精いっぱいやるだけ」と高安。立ちはだかる敵をなぎ倒し、勝負弱い自身に別れを告げる。