「NHKマイルC・G1」(5日、東京)

 5年ぶり2回目となる3歳マイル王決定戦でのG1馬対決を制したのは、川田騎乗の2番人気ジャンタルマンタル。マイルで2戦2勝の2歳王者が、適距離に戻って本領を発揮。力の違いを見せつけて、二つ目のG1タイトルを手にした。好位のインから迫った1番人気の2歳女王アスコリピチェーノが2着。3着には10番人気のロジリオンが入った。

 強い、文句なし!これぞ横綱相撲といった圧倒的なパフォーマンスで、2歳王者ジャンタルマンタルがその実力をまざまざと見せつけた。共同通信杯2着、皐月賞3着と惜敗が続いていたが、川田は「千六で走ることに関しては絶対的な自信を持っていた。普通に走れば負けないと思っていた」ときっぱり。揺るぎない自信が、緑輝くターフで見事に表現された。

 8枠16番からトップスタートを決めると、好位の外めで折り合いはピタリ。終わってみれば、この時点で勝負アリ。「前半、リズム良く走ってくれたので“もう大丈夫だな”と。3〜4コーナーでは“もう負けることはないな”と思いました」と鞍上。ラスト300メートルで先頭に躍り出ると、最後までライバルに付け入る隙を与えなかった。

 関東圏の競馬が続き、中2週のローテ。主戦は「正直、しんどかったです。返し馬でもしんどいなと思いました」と芯の部分にある疲労を感じていたが、2歳王者はこの苦境を乗り越え、自らの力で勝利をもぎとった。名手に「心身ともに成長してくれば、日本で一番マイルで強い馬になれる可能性がある。今回、この世代で頂点を獲りましたが、古馬を相手にしてでも頂点を獲れるレベルのポテンシャルを持っている」と言わしめる能力の高さ。この一戦で、自信は確信に変わった。

 レース選択も見事だった。指揮を執った高野師は「全てのホースマンが目指す日本ダービーへ行く選択肢があった中で、冷静に適性を判断してマイルへ。使わせてもらった以上、内心は勝たなくてはいけないと思っていたのでホッとした」と、安どの表情を浮かべた。

 今後は夏休みで英気を養い、実りの秋を見据える。「本質的にはもう少し長いところもこなすと思いますが、今のところはメンタル的に千六がいいのは間違いない。それでも、もう少し長い距離のビッグレースは一杯ある。馬の今後の成長次第で考えたい」と指揮官。2歳王者から3歳マイル王へと進化を遂げた。成長は急。今秋には、さらに既成の枠を超えた姿が見られるかもしれない。