「ヤクルト6−5阪神」(30日、神宮球場)

 阪神は5−1の八回、3番手・桐敷以降の救援陣が打ち込まれて一挙5失点。貯金をすべて吐き出す結末となった。

 デイリースポーツ評論家・佐藤義則氏はコンディションが難しい日ほど、投手の基本となる「外角低め」の重要性を説いた。

 桐敷は西川に、4番手・漆原はサンタナに四球を許し、その後、痛打を浴びるという結果について「フォアボールは痛いよね」と佐藤氏。

 続けて「ちょっと、内角へのボールが多かった。この日の神宮は、大山がホームランを打ちながら首をひねっていたように、風がきつかった。つまり、打球が伸びやすい日であることは自覚していた。だから内角への変化球を投げる際に、警戒しすぎてカウントが悪くなった」と、勝負どころで四球が出た理由を分析。

 こういう日は、いつも以上に外角低めを多投する必要があるという。「外に集めながら、内角は外す、という考え方であればカウントは悪くならない」。つまり投手主導で戦っていけるということだ。

 好例に、先発した西勇の投球を挙げた。「警戒しすぎて明らかなボールになるんじゃなくて、西勇の場合は長打にならないところへしっかりシュートを投げ込んだ結果のボール。それがあるから、外へのカットやスライダーが生きる。オスナ、サンタナのセカンドゴロなどは見事だったよ」と話す。

 ヤクルト打線を手玉に取っていただけに、もう1イニング、西勇に投げさせる方法も考えられた。佐藤氏は「そうすれば結果は違っていたかもしれない」としながらも「阪神は今日のような継投が勝ちパターンだから。それで結果を残してきたチーム」と継投策や投手個人の評価は不変。風に加え、例えば漆原は緊急登板に近い形でもあったというコンディションの難しさが目立った。それだけに「こういう日は特に『外角低めを軸に』というところの意識を強く持ってほしいね」と、“基本のキ”の重要性を重ねて強調した。