「七夕賞・G3」(7日、福島)

 5歳になって軌道に乗ってきた素質馬キングズパレスが3日、重賞初制覇へ向けて好仕上がりをアピール。松岡を背に美浦Wの併せ馬で素軽い動きを披露し、楽々と2馬身先着を果たした。前走の新潟大賞典が鼻差の2着。待望のタイトル奪取へ、機は熟した。

 重賞初Vへ向けてムードは良好だ。前走の新潟大賞典で鼻差2着に善戦したキングズパレスが、美浦Wで素軽い動きを見せた。6Fからアメリカンランナー(3歳未勝利)を追走する形でスタートし、楽な感じで徐々にその差を詰めていく。直線を向いても手応えは余裕十分。6F85秒8−38秒7−11秒5のタイムで2馬身先着した。「いい動きでしたね」。そう語る松岡の表情が、状態の良さを物語っている。

 休み明けはあまり実戦モードに入らないタイプなのだが、今回の帰厩後はいつもの休養明けより好気配が漂っていた。しかし、そこからの上昇度がひと息。それでも1週前追い切りで負荷を強めると、明らかな変化が表れた。「先週やってから反応があって、レスポンスが良かった」と鞍上も納得の仕上がりにある。

 キャリア18戦で2着が半数の9回を占める。力上位は明らかでも、なかなか勝ち切れないレースが続く。最後まで集中力が持続しない、詰めが甘いなど、気持ちの難しい面が出世を妨げてきた。「集中力をどこで使うか、そこにこだわってやってきた。オンとオフをうまく使い分けられるようにね」と主戦。ケイコで修正を重ねてきたことで、そんな一面も徐々に改善傾向にある。

 初めて騎乗した時から重賞を勝てるイメージは持っていただけに、ここまでの道のりには歯がゆい思いもあった。それでも常に視線は前へ。「気持ちの面も含めて、いろいろと考えながらやってきたつもり。それだけに勝ってほしい」と松岡。苦労が多かった分、期待も大きくなる。厩舎と連携して試行錯誤してきた成果が、ここで出ると信じている。