「阪神タイガース1−0読売ジャイアンツ」(12日、甲子園球場)

 阪神は1−0完封勝利で9月負けなしの9連勝。先発の西勇輝投手(32)が7勝目を今季初完封で飾った。デイリースポーツ評論家の狩野恵輔氏は「『後々』を考えた投球」と賛辞を送った。

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 まさに思惑通りのピッチングだと言えるのではないか。先発・西勇が2安打完封勝利。ベテランらしい計算されたピッチングに加えて、『後々』を考えた投球が見事だった。

 シュートが抜群だ。二、三回はいずれも先頭打者を出塁させた後、次打者をゴロ併殺に打ち取った。二回無死一塁での坂本は外角スライダーを空振りさせた後に内角シュート。三回無死一塁の吉川はシュートを外角気味に制球。共にバッテリーが思い描いた通りの打ち取り方だろう。

 一方、七回1死一塁からは丸を内角直球で見逃し三振。相手打者が手を出さなかったということは、頭にあったボールと違ったということ。巨人とはクライマックスシリーズでも対戦する可能性もある。この日のような攻め方もある、と思わせることが生きてくる。

 程よい落ち着きの中で楽しそうに投げる姿が印象的だ。投球リズムを引き出す捕手・坂本も巧み。今の西勇からは気力の充実を感じる。