「思うように成果が上がらない」
「指示通りに動いてくれない」

 自分はもちろん、部下・同僚に対してそう思う日々にウンザリしていないだろうか。もし、その悩みがちょっとした考え方ひとつで、解消されるとしたら……?

『引き出す力 あなたの中の「宝」を掘りおこす!』(山崎拓巳、平本あきお/ビジネス社)は、そんな悩みに助け船を出してくれる一冊だ。本書は、北京五輪柔道代表の石井慧選手や早稲田大学のラグビー部監督などにもコーチング経験がある平本あきおさんに、作家でセミナー講師の山崎拓巳さんが読者目線で質問。部下や同僚、そして自分にも使えるコーチング術の神髄を会話形式で解説している。

 そんな平本式コーチング術をレクチャーしてくれる本書から、真の力を引き出す3つのコツを紹介したい。

「価値観」を見つめ、未来のビジョンを切り開け!

 大きな夢を叶えるためには、未来を見据えて行動することが大切。そんな風に教えられたり、教えたりしたことはないだろうか。

 だが、よく考えてほしい。いきなり「夢を持て!」「大きな目標を掲げろ」と言われても、すんなり夢や目標は思いつくだろうか。むしろ、夢を考えるのに時間を使い、一歩も踏み出せないなんて悲劇が生まれるだろう。

 そんな人は自分が大切にしている「価値観」を改めて考えてみることが大事なのだとか。やり方は簡単。自分が楽しかった、嬉しかった出来事を思い返してみてほしい。例えば、「高校時代、サッカー部の大会で優勝したときは嬉しかった」という思い出がある。そこで考えるのは、「なぜ嬉しかったか」ということ。もし、「みんなで頑張って一体感を得られたから」ということなら、その人は「仲間と団結すること」を大切な価値観としていることが分かる。

 そして、その「価値観」を今の生活に落とし込んでみよう。同じ夢を持った人と語り合う、休日に仲間とスポーツをするなど、ほんの些細なことでOK。その「嬉しい」「楽しい」気持ちを満たすものが何かを考え、行動すれば、自然と未来に「こうなりたい」というビジョンが見えるはずだ。

逆算して目標を達成する!

「毎朝ジョギングするぞ!」そう決めて3日は続いた。けど、そのうち2日に1回、3日に1回……なんて人は少なくないはず。そんな人をコーチングする際には、一緒に「現場検証」するのがオススメだ。

 例えば、予定通りジョギングできた日。そんな日は朝スッキリ起きられて、「気持ちのいい朝だ! さぁいくぞ!」と気分爽快だろう。だが、ジョギングに行かない日はどうだったか。

 そこで逆算。理由を現場検証してみよう。前日の洗い物をしたら疲れてしまったなど、原因があるはずだ。

 もし、それが原因でない場合、前日、さらに前日とさかのぼり、本当の原因をつぶす。これが目標達成への近道となる。原因が見つかれば、解決のアプローチが考えられる。早めに夕食をとり、洗い物をその日のうちに片付ける、そのためにすぐに晩御飯が準備できるように。このようにできることから少しずつ改善を目指そう。

「朝ちゃんと起きろ!」と他人から命令されてもやりたくない。だからこそ、自分で原因を探し、解決方法を考えさせる。こうした配慮がモチベーションをUPさせるのだ。

頭で考えるだけではダメ!

「あんなこといいな、できたらいいな……」

 と、アレコレ夢を膨らませる。だが、頭で考えただけでは、何も変わらない。自己啓発本を読んで「なるほどな」と思っても、実際に行動する人は少ないとか。

 そんなとき、心がけたいのが「どうしてもやりたい!」と感情を動かし、行動すること。

 椅子に座ってうつむきながら「がんばるぞ!」と叫んでもやる気は出ないはずだ。演技でもいい。椅子から立ち上がって「やるぞ!」と拳を突き上げる。その方がはるかに効果的だという。

 夢や目標を達成するには、理屈だけではなく、体を動かしてみることが重要。誰かに答えを聞く。あるいは、部下が困っているからと簡単にアドバイスしてしまうのはダメだ。自分で悩んで、導き出した答えだからこそ、ただの知識でなく、生きた知恵となる。

 コーチングは部下や同僚を導く方法にとどまらない。自分をも導き、真の力を引き出すことができる。だからこの本は読むだけで満足してはいけない。「頭で考えるだけ」ではダメなのだ!

文=冴島友貴