SNS上では誰でも簡単に思ったことを発信できる一方、意見が衝突してしまうリスクも避けられません。ここ数年は「トーン・ポリシング」という問題をめぐって、度々激しい議論が繰り広げられているようです。

相手の“言い方”を批判するのはNG?

 トーン・ポリシング(Tone Policing)は“話し方警察”などと訳される言葉で、日本では2017年頃からネット上で注目を集めてきました。意味としては、誰かが意見を表明した際に話した内容ではなく話し方(トーン)に文句をつけることを指しています。

 なぜトーン・ポリシングが批判されるかというと、話し方へと論点を逸らすことによって発言者が元々主張したかった内容が棚上げされてしまうため。とくに怒りの感情を伴った意見に対して、「もっと穏便な言い方をした方がいい」「怒った口調だと他の人に聞いてもらえない」などと指摘することがトーン・ポリシングの典型的な具体例です。

 またトーン・ポリシングは多数派を占める人々が、マジョリティや社会的弱者の意見を封殺するために使用することが多いとも言われている様子。2019年9月23日の「国連気候行動サミット」で環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが行った演説をめぐり、「『話し方が攻撃的すぎる』という批判は典型的なトーン・ポリシング」などと指摘されていました。

 トーン・ポリシング批判に共感する人からは、「むやみに相手を諭そうとするんじゃなくて、なぜ相手が怒ってるのかまず考えてほしい」「たとえ子どもの主張でも先入観を持たずに話の内容を聞くべき」「穏やかな言い方では誰も話を聞いてくれなかった人が強い語調になるのは当たり前」といった意見が上がっています。

トーン・ポリシングの扱いには要注意?

 その一方で“トーン・ポリシング批判”には問題点があると考える人も。たとえばネット上では「強い口調で何かを訴えられることに苦痛を感じるんだけど、それを我慢しろというのはおかしいのでは?」「怒る権利があったとしても、それを本当に届けたいなら怒り方を考えた方がいいと思う」という指摘をよく見かけます。

 また“トーン・ポリシング批判がつねに正しいわけではない”という立場もあるようで、そうした人からは「完璧なスピーチが存在しない以上、話し方の問題が指摘されるべきケースもあるはず」「マイノリティの怒りは正当だけど、大した理由もなく感情的になる人の意見は別物として扱うべきだと思います」といった声が上がっていました。

 いずれにしてもSNS上の争いを減らすためには、1人ひとりのユーザーが考え方の異なる相手を尊重するためのリテラシーを深めていくしかないのかもしれません。

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