かつて「転職」については、「少なくとも3年続けてから」が常識のように思われていたが、変わってきており、新卒で入社して後、3年以内に離職する人の割合が大卒も高卒も3割を超えている(厚生労働省)。

早期離職にネガティブに考えず、会社が合わないと感じたら、早いうちに転職することで、効率的にキャリア形成しようという時代になってきているようだ。

■「20代前半で転職を積極的にすべき」も増加中

「3年」と言われ続けた理由はいくつもあるだろう。たとえば終身雇用を当たり前と考えれば、3年という期間は決して長くはなく、「少なくとも3年は我慢するものだ」という理屈があったと考えられる。

また、コンピュータや通信の性能・スピードが高く・速くなり、マーケットのグローバル化も進んだため、現在は、かつてよりも業務の遂行や成長に求められるスピードが上がっているのかもしれない。

このほかにも、経済状況の変化、若い労働人口の減少、さらには価値観の多様化などあらゆる要因が考えられる。

そうした変化を経て、20代前半で転職を「積極的にしていくほうがよい」と考える社員は、2019年の64%だったが、2022年には78%と14ポイントも増えている(パーソル総合研究所「20代社員の就業意識変化に着目した分析」)。

■20代で転職するメリットは?

20代で転職することのメリットとして考えられるのは、採用する企業側から、若くて、将来性や柔軟性があると期待してもらえることがある。また、30代や40代と比べて異なる業界や職種にチャレンジしやすいとも言える。

さらに、新卒3年以内なら「第二新卒」という枠の求人にも応募できる。新卒と比べれば経験値があるため、基本のビジネスマナーを身につけており、即戦力に近い人材としての期待がされやすい。

■短い期間での転職をポジティブに伝えるには

ここで気になるのが、在籍期間が短いことを転職活動の面接などでうまく伝えられるかどうかだろう。この点について特に大事なのは、「またすぐに辞めるのでは」と思われないよう、転職に確固たる理由があることをしっかり伝えることだ。

短期間での転職は「またすぐに辞めてしまうのではないか」と、ネガティブな印象を持たれがちだ。しかし、「前職でやりたいことが明確になった」としてその理由や背景を説明できれば、採用側も納得感を覚えるだろう。

また、長期で働く意思があることを伝えるため、入社してからのビジョンを年単位で掲げてアピールするのもよいかもしれない。前職で得た経験をアピールすることも重要だ。

現職で働き続けることがストレスになるのに、「とりあえず3年」と根拠がなく働き続けて、将来の自分のためになるのか、しっかりと考えてから転職活動に臨むかどうか判断するとよいだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部