学生時代などに国民年金の支払い猶予を受けた人は、保険料を「追納」によって後払いするとメリットがあります。追納は義務ではありませんが、未納のままにしておくよりもよいのです。理由は2つあります。

■理由1 年金額が増え10年で元が取れる

国民年金の納付を猶予すると、もらえる年金は減りますが、追納(後払い)すれば国民年金の受取額を増やせます。

学生納付特例などで支払いの猶予を受けた場合も、年金の受給資格期間には加算されますが、猶予を受けずに支払い続けた場合と比べると年金額は少なくなります。

たとえば、2年間(24カ月)猶予を受けた場合、追納しないと65歳以降に受け取る国民年金額は73万8,910円(2022年度の場合)で、満額(77万7,800円)と比べると3万8,890円減ったことになります。

猶予を受けたのが2020年と2021年だった場合、追納する合計保険料は39万7,800円です。この金額を納めれば65歳以降満額の年金が一生受け取れるわけです。追納した保険料に対して約10年で元が取れる計算になります。

■理由2 追納分の保険料で節税できる

追納の保険料は「社会保険料控除」の対象になり、支払う所得税・住民税が軽減できます。

追納分の社会保険料控除は給与天引きされる社会保険料とは別なので、年末調整または確定申告での手続きが必要です。

■収入が高くなってから追納するほうが有利

追納は10年以内に行わなければなりませんが、すぐに行わずに収入が上がってからのほうが有利です。なぜなら、同じ金額を追納しても収入が多い人のほうが軽減される税額が多いからです。

たとえば、40万円の追納を、年間20万円ずつ2年に分けて納めるケースを考えてみます。もし課税所得が300万円の人が行うと、節税できる所得税額は年間2万円、2年分で4万円です。ただ、課税所得500万円の人なら、節税できる額は年間4万円のため、2年分は8万円にもなります。

追納は10年以内に行わなければならず、3年以上経つと加算額という遅延利息のようなものが上乗せされます。しかし、学生時代に猶予を受けた人が社会人になってすぐの収入で追納するのは、大変な場合もあるでしょう。

特に奨学金の返済がある人は延滞すると信用情報に傷が付くので、無理は禁物です。追納は期限内にできればよいので、慌てずに収入が増えてから計画的に実行しましょう。

文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部