NISAが2024年から新しくなるが、制度の変更とともに注意すべきことがある。たとえば、一般NISAを利用しているは、非課税限度額が少なくなる。制度が変更される前に、新NISAのメリットとデメリットを見極め、効率よく運用をしていきたい。

■「新NISA」今の一般NISAとの大きな違い

今のNISAが2023年で終わり、2024年から新しくなる(つみたてNISAの制度は変更はない)。新NISAは今までに比べてやや複雑な仕組みのため、特に現行の一般NISAを使っている人は注意が必要だ。

●現在、一般NISAを使っている人は非課税限度額が減る

現在、一般NISAを利用している人への影響は、2024年からは新NISAに切り替わるため、非課税限度額が少なくなることだ。

なお、現在のつみたてNISAが2024年以降どうなるかというと、投資できる期間が2042年までに延長される以外の変更はない。

●投資未経験者や初心者は積み立てが必須。「株式投資だけしたい」はダメ

新NISAの注意点の一つ目は、1階部分の積立投資をしないと、2階部分の投資ができないことだ。「NISAで株式投資だけしたい」という人も、まずは投資信託の積み立てをしなければならないというわけだ。

これには例外があり、現行のNISAを利用していたなど投資経験のある人が、上場株式だけに投資する場合は1階の積み立ては不要で、2階部分のみの利用ができる(しかし、投資信託など上場株式以外を購入するなら、投資経験にかかわらず1階部分を利用しなければならない)。

とはいえ、1階部分の積み立てをしなければならないとしても、20万円の枠を使いきる必要ない。それこそ100円でも投資信託を買えば、1階部分の積立投資をしたことにならない。

■新NISAでは引き出し後に非課税枠を再利用できる!

新NISAで変わる点の中でも注目したいのは、資産を引き出してから、“空いた非課税投資枠”を使って買付できるようになることだ。投資できる金額も大幅に増え、必要に応じた引き出しがしやすくなり、現行NISAより使いやすい制度になる。

●株などで値上がり益を狙う投資

商品を売ってから非課税投資枠が復活すると、株などで値上がり益を狙う投資の取引の判断がしやすくなる。

現行の一般NISAでは、買った株が値上がりして「売りたい」と思っても、空いた枠が使えないため判断に迷うおそれがある。

反対に値下がりして損切りすべき場合でも、非課税投資枠を失いたくないばかりにズルズル持ち続けることになりかねない。

しかし、新NISAでは、成長投資枠で空いた非課税投資枠が再利用できるだけでなく、1年間の投資枠も240万円と引き上げられる。

そのため、使える非課税投資枠が減ることをそれほど気にせずに、適切な投資判断がしやすくなる。

●子どもの進学や老後など複数のライフイベントに合わせた資金準備

新NISAで引き出し後の非課税投資枠が復活すると、教育資金準備や老後資金などの多くを準備できるようになった。

たとえば、買付けた商品が1,000万円になったタイミングで子供の学費として500万円引き出したとする。

すると500万円の非課税投資枠が空いて、そこから新たに1,800万円の買付ができる。

この非課税枠を利用して老後資金準備をしてもよいだろう。トータルでは2,300万円の非課税投資ができるわけだ。

ただし、“生涯”の非課税保有限度額が復活するだけで、“年間”の投資枠は増えない。空き枠を使って年間360万円の範囲で投資を続けられるという意味だ。

文/編集・dメニューマネー編集部