退職日は1日違うだけで損することがある。退職日の判断を誤ると、払わなくてもいい保険料などが最後の給料から引かれてしまうからだ。もし、退職するとしたら、どのタイミングで会社を去るべきなのか。
また、「会社が嫌だから」といってしっかりと考えずにフリーの道を選ぶ人もいるだろうが、会社員にもさまざまなメリットがある。たしかに会社勤めには大変なことも多いが、独立開業し、個人事業主になると失うものもあるのだ。会社員ならではのメリットと、辞めて得られるメリットをよく比べてみよう。
■退職日が一日違うと保険料はこんなに変わる!
いつかやってくる「退職」。退職日が一日違うだけで、不要な厚生年金保険料を余分に納めることになる。必要な保険料は当然納めるべきだが、不要な支払いを避けたいもの。そうしたことの積み重ねが大きな金額になる。
●「月末退職」が不利な理由
サラリーマンやOLなど、会社員はすべて厚生年金に加入しており、退職によってその資格を失う。
実はその資格を失うのは「退職日の翌日」という決まりがある。
たとえば、標準報酬月額50万円のサラリーマンの保険料は毎月9万1500円だ。これを本人と雇用主(企業)とで折半する。
もし3月31日に退職すると、4月は一日も働いていないのに4月分の保険料を納めなければならないのだ。
厚生年金保険料は本人だけではなく雇用主も負担している。つまり、月末退職が不利なのは、本人だけではなく雇用主にとっても同じなのだ。このため、退職日を月末の1日前と社内規定で決めている会社がある。
●入社時にも注意が必要な厚生年金
月末退職は1ヵ月分の保険料が得か損かという話だが、入社時の厚生年金の問題はもっと深刻だ。
試用期間を設けている会社もあるが、中には「試用期間中は厚生年金に加入しない」という会社もある。
厚生年金に加入していない期間があると、将来受け取る年金額が少なくなるのは当然だが、重要なのは保障だ。
厚生年金に入らずに交通事故や病気になったら、障害厚生年金や遺族厚生年金を受け取れないかもしれない。
■退職する前に見直したい会社員のメリット
新型コロナウイルスの流行や、働き方の多様化から副業への関心が高まっている。中には副業で稼げるようになり、「独立」を考えている人もいるだろう。一度「独立」が頭に浮かぶと、つい退職に向けて突っ走ってしまいそうだが、会社員にも忘れてはいけないメリットがある。
●会社員はクレジット・ローンなどが通りやすい
フリーランスは収入が安定していないと考えられるため、住宅や自動車などのローンやクレジットカードの審査が通りにくいとされる。
その点、会社員はこうした審査に通りやすいと言える。なぜなら毎月の大まかな収入が予想できるため、お金を貸す側も安心だからだ。
日本では労働者の権利が守られていて、解雇は簡単にできない。このため給料が突然打ち切られる心配はそんなにない。
●将来の年金も会社員は手厚い
社会保障の面でも、会社員は恵まれていて、たとえば厚生年金や健康保険は労使折半で半額は会社が負担してくれる。
この点、フリーランスが加入する国民健康保険や国民年金では、費用を全額負担しなくてはならない。
将来もらえる年金額も違ってくる。会社員は国民年金(基礎年金)と厚生年金の両方から年金がもらえるが、(「2階立て」といいます)。フリーランスは基本的に国民年金だけ(1階の部分だけ)なので、iDeCoや国民共済に加入するなどの対策をしなければ、もらえる年金はそう多くない。
年金の平均受給額は、国民年金が約5.6万円、厚生年金が約14.4万円といわれている(厚生労働省「2018年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。当然、フリーランスなら厚生年金の14.4万円はもらえない。
文/編集・dメニューマネー編集部