厚生労働省は、「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。
個別労働紛争解決制度とは、労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度です。
今回は「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を詳しく解説します。

そもそも個別労働紛争解決制度とは?

個別労働紛争解決制度には、「総合労働相談」、「助言・指導」、「あっせん」と3つの方法があります。

「総合労働相談」は、都道府県労働局、各労働基準監督署内などに、あらゆる労働問題に関する相談をワンストップで専門の相談員が対応する総合労働相談コーナーを設置し、サービスを実施しています。

「助言・指導」は、民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことで、紛争当事者間の話し合いによる自主的な解決を促すものであり、当事者になんらかの措置を強制するものではありません。

「あっせん」は、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が第三者として双方の主張の要点を確かめ、話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度です。

令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況

令和2年度の「総合労働相談」件数は129万782件と、令和元年度より8.6%増加しました。
内容は、いじめ・嫌がらせが22.8%と最も多く、自己都合退職11.4%、解雇10.9%と続きます。
また「助言・指導」は、9,130件と、令和元年度より7.5%減少しました。
内容は、いじめ・嫌がらせが18.4%と最も多く、解雇9.7%、労働条件の引下げ9.0%と続きます。
「あっせん」は、4,255件と、令和元年度より18.0%減少しました。
内容は、いじめ・嫌がらせが28%と最も多く、解雇21.8%、雇止め9.5%と続きます。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響により解雇や雇止め、労働条件の引下げなど、労働者と事業主間のトラブルが増え、個別労働紛争解決制度を利用する方が増えたのではないでしょうか。
いじめ・嫌がらせの相談件数は、令和元年度にくらべ「総合労働相談」では2.7%減、「助言・指導」は5.8%減、「あっせん」については5.7%減と減少の兆しは見えるものの、依然割合は高い状況にあります。
中小企業は2022年4月よりパワハラ防止法が施行されます。
今後、いじめ・嫌がらせの割合がより一層減少することを期待します。