「フクコと共に、ごく当たり前の毎日を楽しく過ごしていきたいと思います」


こう話すのは、柴犬・フクコちゃん(5才)の飼い主さん。今の姿からはあまり想像できませんが、フクコちゃんは2020年4月まで劣悪な繁殖場で暮らしていたのだそうです。

そんなフクコちゃんとの出会いのエピソードや今の暮らしについて、飼い主さんにお話を伺いました。

劣悪な場所から保護、体には痛々しい傷跡も

2020年4月に先代犬・サチコちゃんを亡くし、次の犬を迎えようかどうか考えていたという飼い主さん。サチコちゃんや先々代犬・キヨコちゃんは元保護犬で、成犬から家族に迎えたこともあり、迎えるならば「次もやはり成犬の保護犬を」と考えていたのだそう。

そんなある日、飼い主さんは劣悪な繁殖場から保護されたフクコちゃんの存在を知ったのです。


初めてボランティアさんの家でフクコちゃんと対面したとき、「小さくてかわいいな」という印象を抱いたそうですが、フクコちゃんの体に触れてみると衝撃を受けたといいます。

飼い主さん:
「あばら骨が浮き出ていて、毛並みも薄毛でパサパサ。体に傷もあり、厳しい環境の中で苦労して生きてきたことはすぐにわかりました。劣悪な繁殖場で、十分な食べ物も愛情も与えられずに過ごしてきたこのコを、我が家の家族として迎えたいと思いました」

そして2020年7月15日、1カ月のトライアル期間を経て、飼い主さんはフクコちゃんと正式に家族になることができたのでした。

家庭犬としてのルールを学んでいくなかで、フクコちゃんに変化が


過酷な状況で生きてきたフクコちゃん。辛い目にあっていたかもしれないのに、人にとても従順なのだそうです。迎えた当初から人の目をしっかりと見ることができたので、飼い主さんは「コミュニケーションが取りやすいな」と感じたそうです。


ただ、これまで食べ物を十分に与えられてこなかったためなのか、食べ物に対する執着が激しかったといいます。

飼い主さん:
「食卓に駆け上がって、人間の食べ物を食べてしまうことも度々ありました。でも、食べ物を十分に与え、家庭犬としてのルールを学ぶにつれて、少しずつ落ち着いてきました。今では、食卓の食べ物を盗むことはなくなりましたね」


初めの頃のお散歩は、家の回りの狭い範囲しか歩けなかったそうですが、少しずつ範囲が広がってきて、フクコちゃんはお散歩の楽しさを知ることに。

また、これまでの犬生で人に甘えることはなかったかもしれませんが、ご家族の愛情にたくさん触れるなかで、甘える喜びも知っていったようです。

フクコちゃんの見た目にも変化が!


飼い主さんの家でいろんな経験をして成長しているフクコちゃんですが、見た目にも嬉しい変化があったようです。

飼い主さん:
「保護当初は4.9kgしかなかった体重が、保護主さんの家で順調に増加して7.2kgに。最近では9kg近くまで体重が増え、毛並みもみっしりとした美しい柴犬に生まれ変わりました。周囲の方から、『きれいになったね』『かわいくなったね』と言っていただけるのがとても嬉しいです」


保護当時と比べると、フクコちゃんの表情がとても穏やかに、明るくなっているのがわかります。Instagramのフォロワーさんなどから、「フクコちゃんの顔が変わってきた」と言われることもあったそうです。

フクコちゃんと一緒に、ごく当たり前の毎日を楽しく過ごしたい


フクコちゃんと出会って約9カ月が経過します。飼い主さんはフクコちゃんとのこれからの生活について、このような思いを話します。

飼い主さん:
「我が家にとって、犬との暮らしは当たり前の日常。フクコと共に、ごく当たり前の毎日を楽しく過ごしていきたいと思います。

そして、かつてのフクコのように、厳しい環境の中で過ごしている動物たちが、少しでもたくさん救われることを願っています。保護犬もいいもんだよ。成犬でもちゃんと懐くし、しつけもできるよ——フクコとの暮らしを通して、そのことを伝えられたらいいなと思っています」


フクコちゃんとの生活は、まだまだ始まったばかり。これからも楽しい日々を過ごしていってほしいですね。

第2の犬生を歩み始めたフクコちゃんの姿は、飼い主さんのInstagramでもぜひご覧ください。

写真提供・取材協力/@sachifuku_shibainuさん
取材・文/雨宮カイ