LINEを狙うソフトバンク 孫正義“捨て身”の囲い込み戦略

LINEを狙うソフトバンク 孫正義“捨て身”の囲い込み戦略

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が大きな勝負に出た。無料通信アプリ大手「LINE(ライン)」の約8千万人ものユーザーを一気に手に入れようとしたのだ。

 SBGは米企業への投資に失敗し赤字に陥って、市場の期待を裏切ったばかり。国内SNSで最大の利用者数を誇るLINEを取り込み、ネット市場の覇権を握る戦略だ。

 具体的には、SBG傘下のZホールディングス(ZHD、旧ヤフー)と、LINEを経営統合させようとしている。LINEの企業価値を示す時価総額は1兆円を超えており、巨大企業を取り込むことはリスクも大きい。孫会長にとっては投資家の信頼を取り戻すための捨て身の戦略だが、経営統合でSBGが窮地を脱すると考える市場関係者は少数派だ。

 ネット業界に詳しい金融関係者は、日本では企業間競争が激しく、覇権を握るのは簡単ではないという。

「ネットサービスが乱立していて、米国や中国の企業のように大きな利益を生み出しにくい。統合できたとしても、新しいサービスへの研究開発投資は限られてしまうでしょう」

 SBGがネット市場での存在感を増すことへの警戒もある。SBGは衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZO(ゾゾ)を傘下に収めるなど、ユーザーの囲い込みをすでに進めている。さらにLINEまで手に入れると、公正な競争を確保しにくくなるとの見方があるのだ。

 例えばスマホ決済サービスだ。SBGは、「PayPay(ペイペイ)」をグループ全体で普及させようとしている。LINEも独自の決済サービスに力を入れており、経営統合すれば競争が弱まる恐れもある。顧客獲得のためのポイント還元といったキャンペーンが、少なくなってしまうかもしれないのだ。

 ほかにもネット通販やゲーム、金融業などサービスが重なる分野は目立つ。ネット市場ではユーザーを囲い込み情報を独占した企業が、一人勝ちする傾向がある。公正取引委員会も競争が適切になされるよう、監視を強めている。

 孫会長は企業買収を繰り返し、自社を巨大化させてきた。それを可能にさせたのが投資家からの、「孫さんは勝負に勝ってきた」という信頼だ。今回の大勝負でそれを取り戻さないと、経営は一気に苦しくなる。(本誌・小島清利)

※週刊朝日  2019年11月29日号


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