食糧品からエネルギーに至るまで、生活日需品の値上げラッシュが相次いでいる。その流れはとどまることなく、10月にも値上げが控えている。値上げが続いている要因は何か。AERA 2022年5月23日号の記事から紹介する。

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 約30年間も物価が下落基調だった日本において、まさに“青天の霹靂(へきれき)”とも言える値上げラッシュが続いている。読者のAさん(40代女性)はこう嘆く。

「地方在住だから自動車は不可欠なので、ガソリンの値上がりが家計の負担になっています。他の出費を抑えるように努めているものの、生活必需品がどんどん値上がりして困っています」

 調味料から飲料、インスタントラーメン、スナック菓子、冷凍食品、トイレットペーパーなどの日用品に至るまで、値上げは広範囲に及んでいる。

 日本銀行が4月7日に公表した「生活意識に関するアンケート」(2022年3月調査)でも、対前年比で物価が「かなり上がった」と回答した人が22.4%に上った。半年前の調査(昨年9月)は8.9%にとどまっていただけに、非常に大きな変化だ。「少し上がった」との回答と合わせると、全体の8割超に達する。暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と答えた人も4割を超えていた。

 こうした値上げラッシュの発端と考えられているのは、ロシアによるウクライナ侵攻だ。

 まず、主要国による経済制裁に伴い、ロシアから供給が滞るとの思惑から原油が高騰。ウクライナが世界有数の穀倉地帯のため、小麦などの穀物相場もほぼ垂直方向の上昇を記録した。

 輸入小麦は政府が一括して買い上げて製粉業者に売り渡す。4月にはその価格が過去2番目の水準まで引き上げられたが、これは北米産の不作を背景としたものだ。次の10月の価格改定ではウクライナ侵攻後の小麦急騰が反映されるだけに、今秋にも値上げラッシュの第2ステージが控えているようだ。

 実はウクライナ侵攻以前から、エネルギーや資源価格の上昇は顕在化していた。新型コロナウイルスの感染拡大が一段落し、世界各地で経済活動が再開しつつあることが大きい。人手不足でサプライチェーンの混乱や人件費の高騰が続き、供給上の制約が出たためだ。すでに世界的には、昨年ごろからインフレ(インフレーション)への警戒感が高まっていたのだ。

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

※AERA 2022年5月23日号より抜粋