「あな番」の最終回は? 夏ドラマをカトリーヌ&山田美保子が“深読み”

「あな番」の最終回は? 夏ドラマをカトリーヌ&山田美保子が“深読み”

 後半から見ても盛り上がる!! 本誌連載でおなじみの漫画家でTVウォッチャーのカトリーヌあやこさんと放送作家の山田美保子さんに夏ドラマを“深読み・裏読み”してもらった。



*  *  *
──ドラマといえば「月9」。王道ラブストーリーが定番だったが、今クールは大きく変化した。

カトリーヌあやこさん(以下カトリーヌ):山口智子が23年ぶりに月9に登場しましたよね。でも、90年代の女が、全盛期の勢いのままで来るので、視聴者はどう寄り添っていいのか戸惑ってしまう……。

山田美保子さん(以下山田):そのままね。いつも完璧に冷凍保存された状態で出てくる(笑)。でも、この山口さんが出ている「監察医 朝顔」(フジテレビ系)は、月9なのに浮かれていない。夏ドラマで、月9でこれっていうのは驚いた。以前は月9の夏ドラといえば、イケメンが出てくるベタな恋愛作品が多かったのに! 反町隆史と竹野内豊のダブル主演の「ビーチボーイズ」(1997年放送)みたいな。例が古い(笑)?

カトリーヌ:対して、「朝顔」は大人が見るべきドラマです。監察医の物語でありながら、上野樹里演じる主人公と時任三郎演じる父親の親子のストーリーもにじませている。日曜劇場みたいです。フジの月9がTBSの日曜9時のようになってきた。

山田:東日本大震災にも触れていて。胸が痛いけれども、描き方が深い。

カトリーヌ:いい意味で月9のイメージを裏切ってくれたドラマ。きちんと作られている。

山田:月9に限らず、純粋な恋愛ドラマは少なくなりましたよね。胸キュンするような若い子向けの作品は、邦画にとって代わられているのかも。

カトリーヌ:「イケメンラブ」なストーリーは、2時間くらいで見終わりたいのかも。

山田:そうね。1クールもたないんだ。

──ドラマはその時代の空気や社会のようすを反映する。人物の描き方、演じ方で見どころは。

カトリーヌ:ドラマに出てくる男が総じてやさしい。やさしくないのは高橋一生くらい(笑)。

山田:「TWO WEEKS」(フジテレビ系)の三浦春馬が今までとは違うかたちでがんばっているのに注目。エンディングテーマも歌っています。

カトリーヌ:「あなたの番です─反撃編─」(日本テレビ系)では、田中圭が歌っていますよ。

山田:イケメンでも多角経営しているということ(笑)。ただのイケメンじゃ今は持たないということでしょうか。

カトリーヌ:これまでと違う女性像といえば、視聴者におなじみの池井戸(潤)作品が原作の「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)の松たか子がいい!

山田:いいよね。夫に対して「ため息つくんだったら、息しないでくれる?」って言う。日曜劇場に出てくる奥さんって、これまでは“(夫を)支える系”ばかりだったから。

カトリーヌ:夫役の大泉洋が打たれ強いキャラだから笑って見ていられる。

──インターネットの見逃し配信が定着したり、SNSでの“実況”が盛り上がるなど視聴者のドラマの見方も変わってきた。

山田:以前は視聴者に支持されているかを測る方法は視聴率だけでしたが、今は、リアルタイムで視聴しなくても、インターネットの見逃し配信で見ることができる時代。ドラマを評価するのにいろんな指標がある。例えば、どれだけツイッターでつぶやかれたかなどで測る「視聴熱」。実況の盛り上がりは数字(視聴率)とイコールではないけれど、ドラマの過熱具合がわかります。

カトリーヌ:連続殺人事件の謎に挑む「あなたの番です─反撃編─」は、SNSで実況して犯人を推理して、楽しむという見方。絶対に最終回でひっくりかえされるんだろうけど。どんだけ「まじかよー」って言わせたいがためにためてるんだか(笑)。

山田:秋元康さんの企画・原案だから仕掛けがスゴイ。

カトリーヌ:それに、必ず出演者のウリをドラマに盛り込んでくる。例えば、田中圭ならば筋トレ、横浜流星は出てきた瞬間に空手をします。ストーリーで魅せるだけでなく、役者の背景までも持ち込んで視聴者をドラマに引き込む。役者をしゃぶりつくすよね。

山田:本当に戦略的なドラマ。少し前まで作り手の戦略が透けて見えるのは視聴者に敬遠されていたけれど、一周してまた戦略がウケる時代がきた感じがします。

──テレビ離れが加速するが、面白い作品はまだまだある。特に今は週末や深夜枠が注目だという。

カトリーヌ:金曜日は大渋滞。「凪のお暇」(TBS系)を見た後に「セミオトコ」(テレビ朝日系)を見て「Iターン」(テレビ東京系)を見る。そして裏で「これは経費で落ちません!」(NHK)を録画する。

山田:金曜日から日曜日はドラマが充実してるよね。

カトリーヌ:サウナ好きの漫画が原作になった「サ道」(テレビ東京系)は、ストーリーを楽しむというよりは、環境ビデオに近い。深夜、寝る前に見るのがちょうどいい。芸能界にはサウナ好きが多いから、いろんな人がゲスト出演したいんだろうなって(笑)。

山田:「ドクターX」シリーズのように安定感のあるドラマはともかく、もう少し若い人に向けたものや、意欲的なドラマは、今は21時じゃ早い気がするんです。

カトリーヌ:深夜でも本気のキャスティングのドラマが増えてきたよね。

山田:テレ朝の金曜ナイトドラマ(金曜23時台の枠)とか、東海テレビ制作の「大人の土ドラ」(大人の人間ドラマと銘打った土曜23時40分からの放送枠)で放送されるようなドラマがどんどん存在感を増してきた。

カトリーヌ:「セミオトコ」も、話題を集めた「おっさんずラブ」(テレビ朝日系、18年放送)も“ナイトドラマ”。23時を超えたら、ムチャな話でも許せる(笑)。

山田:そうそう(笑)。

カトリーヌ:21時だと怒っちゃう(笑)。

山田:この時間帯なら、それほど有名ではない原作でもドラマ化してもいい、みたいな空気は視聴者側にもあるよね。作り手にチャンスが回ってきた気がする。

カトリーヌ:映画監督が手掛けたような、ドラマとしては珍しい作品に出会えることも。質も高いですよ。

(構成/本誌・大崎百紀)

※週刊朝日  2019年8月30日号


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