ミュージカルをはじめ、NHK連続テレビ小説「エール」や大河ドラマ「青天を衝け」に出演するなど活躍の場を広げる山崎育三郎さん。コロナ禍のエンターテインメントへの思いを聞いた。

【前編/山崎育三郎 マルチな活躍に「肩書が関係なくなったらいい」】より続く



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──昨年、「エール」で連続テレビ小説に初出演を果たし人気はうなぎ登り。今年は初の大河ドラマ「青天を衝け」で伊藤博文を演じている。

山崎:大河ドラマは選ばれし役者さんが集まる場所だと思っているので、身が引き締まる思いです。ただ、撮影場所が朝ドラの撮影場所の隣。1年近く通っていた場所ですから安心感があります。朝ドラでお世話になっていたスタッフさんが大河にもいらっしゃるので、どこかつながってるような感じもあります。

 伊藤博文は初代総理大臣で誰もが知ってる方。英語がすごく堪能です。冒頭で英語で話すシーンがあったのですが、かなり難しい英語で苦戦しました。でも、自分らしく、いろいろと掘り下げながら役と向き合っていきたいと思っています。

──昨年から続くコロナ禍で、エンターテインメント業界も大きな打撃を受けている。山崎さんも公演予定だったミュージカルが中止や変更になるなど、厳しい状況が続く。俳優にとって、モチベーションを保つこと自体が難しい。

山崎:僕はいつも「今しかないな」と思っています。例えば、4月8日から帝国劇場で始まったミュージカル「モーツァルト!」は残り3分の1ぐらいを残したところで、緊急事態宣言が出て中止となりました。2千人の前で3時間近いパフォーマンスをするというにもかかわらず、あと数日後に本番をやるかどうかもわからない。そういう状態で日々過ごさなければいけない。明日公演があるかどうかもわからないという思いで舞台に立っています。さらに、いつが千秋楽になるかわからない状態がずっと続いているんです。

 コロナ禍になる前からいつも、自分の中にテーマがありました。それは、今、この瞬間にどれだけ自分の思いを込めてパフォーマンスができるか、ということ。先のことは何もわかりません。とにかく今、自分が悔いのないパフォーマンスができるかということだけがモチベーションです。「(公演が)今日で終わりですよ」と言われた時に、自分の中で納得できる表現ができたか。そこにいけるかどうかの繰り返しでしかないんだと、コロナ禍になってより強く思うようになりました。

──多忙になっても丁寧な対応は変わらない山崎さん。「すべてのことを仕事とは思っていない」と話すが、もしやインタビューも?

山崎:どうですかね(笑)。自分も楽しみたいなという気持ちは大きいかもしれません。僕はいつも「どうやったら人に喜ばれるか」ということだけを考えています。常に文化祭の前みたいな感じ。好きで楽しくやってるだけなので、何をするにも仕事なんだという感覚がないのかもしれません。僕はエンターテインメントが好き。どうすれば作品をより良くできるのか、お客様に楽しんでもらえるのかがすべてなのです。

(構成/構成・坂口さゆり)

山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)/1986年生まれ、東京都出身。舞台やコンサート、ドラマなど幅広いジャンルで活躍。NHK大河ドラマ「青天を衝け」に伊藤博文役で出演。「billboard classics 山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2021 ─SFIDA─」が6月15日を皮切りにスタート。

※週刊朝日  2021年6月25日号より抜粋