利益に対する税金が非課税になる、国のお得な投資制度「つみたてNISA」の壁は投資信託選び。だが答えは決まっている。「あれこえ考えず、インデックス型を買えばいい」。その理由は?


 
 投資信託協会によると、2021年2月末の公募投資信託(以下、投信)は全5891本。その中から、「つみたてNISA」では193本(ETFも含む)が厳選されている。193本まで絞っていただいてありがたいが、初心者がここから1本を選ぶのは難しい。

「どの投信を買えば失敗しないのか」という疑問に答えてくれたのは、超人気FP(ファイナンシャルプランナー)の横山光昭さんだ。

「つみたてNISAの投信はインデックス型、アクティブ型、ETFの3種類に分けられます。

 この中では、株式市場全体の値動きを示す『株価指数』に連動したインデックス型の投信が最適です。信託報酬などの運用コストも一番安く、過去のデータから見てパフォーマンスも申し分ない」

 インデックス型投信は、運用者が積極的に銘柄を選ぶわけでなく、機械的に株価指数に連動させるだけなので、「パッシブ(消極的)型」とも呼ばれる。

 金融庁が選定したつみたてNISA向け投信の中でも167本の投信と7本のETFがインデックス型。ファンドマネジャーという運用のプロが投資先を選ぶ「アクティブ型」の投信は19本しかない。

 では、つみたてNISAで投資すべき「株価指数」はどれ?

「日本では、代表的な225銘柄の動きを表す日経平均株価と、東証1部の約2200銘柄の動きを表すTOPIX(東証株価指数)が有名です。でも、特にTOPIXは30年前のバブルの最高値をまだ超えられないでいる。今後の日本は少子高齢化も進み、右肩上がりの上昇は期待しづらいかもしれません。株価は長期的な経済成長があってこそ上昇するものです。個人的には、さらなる成長が期待できる海外のインデックス型投信を買ってほしいと思います」(横山さん)
 
 海外のインデックス型投信で、初心者にお勧めしたいのは3つ。

●世界経済の中心である米国の代表的株価指数「S&P500」
●米国やイギリスなどの先進国、中国などの新興国企業も含む「全世界株式」
●米国やイギリス、フランス、カナダ、スイスなどの企業が入った「先進国株式」

 S&P500には、アップルやマイクロソフトなど、米国、いや世界を代表するIT企業がたっぷり組み入れられている。

「入っている銘柄を見ればわかりますが、現状はS&P500も全世界株式も先進国株式も、米国オンパレードですけどね(笑)。中でもS&P500はド直球に米国のみ。1つの国だけに特化するリスクは少しありますが、何よりも『利益』を重要視するなら、S&P500がいいでしょう」
 
と横山さん。S&P500は米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが1957年に算出を開始した歴史のある指数だ。

 日本ではNYダウ平均株価のほうが有名だが、NYダウは米国の優良企業30社のみの株価を単純平均したもの。より幅広い米国の優良企業の株価を反映したS&P500のほうが、資産運用の対象としては人気だ。
 
 実際、S&P500は1990年からの30年間で上げ下げしながら10倍以上も上昇している。

「ここ30年間は米国がナンバーワンでしたが、今後はわかりません。『とりあえず、これから10年』というならS&P500での『逃げ切り作戦』でかまわないと思いますが、『20年、ほったらかしにしたい』のであれば全世界株式を勧めます。

 中国をはじめとする新興国の成長の恩恵も受けられますし、米国の勢いが弱くなったら中身の配分を変えてくれますから。

 一方、米中対立の激化など中国リスクに敏感で、しかも米国一辺倒も怖いという人は、消去法で先進国株式の投信が候補になるでしょう」

 4月13日発売の「AERA Money2021春号」では、ここで紹介した世界3大指数に連動する、つみたてNISA対象の投信を調査し、全掲載。さらにそれぞれ2本ずつ、横山さんのおすすめ投信にマークをつけている。コストの安さと純資産総額のバランスで選んだ「鉄板の投信」だ。

 その中から3本を紹介しよう。

【1本目】
楽天・全米株式インデックス・ファンド/楽天投信投資顧問

【2本目】 
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

【3本目】
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

 シンプルな指数を使い、コストも安く、純資産総額もしっかりあって(運用会社側も)パフォーマンスをキープしやすい、という条件を兼ね備えた鉄板の投資信託だ。初心者にも自信をもっておすすめする。

※アエラ増刊『AERA Money 2021春号』より抜粋

(取材・文/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)