元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

 新しい服をほとんど買わず、父親のワイシャツを自分でリメークして着る稲垣さん。今回は新たなセルフリメーク術をお届けます。

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 前回、父のシャツをリメークして喜んで着ている話を書いたが、実は自分の服もリメークしまくっておりまして。

 愛用の服が似合わなくなり出番が減ってきた時、そのまま捨てるのも忍びなく、どうせ捨てるなら一工夫して最後に一花咲いてもらおうと、パンツを開いてスカートにしたり、ロングパンツの裾を切ってショートパンツにしたり、襟を切ってスタンドカラーにしたり、例によって切りっぱなしでテキトーにあれこれやっているのだ。

 だがそうやって一旦手をつけるとますます愛着が湧いてきて、破れてもほつれても補修して着るのが当たり前になり結局捨てられず、我ながらどうかと思うようなボロボロっぷり。何しろマイ自転車のサドルがスポーツタイプの硬いヤツなんで、日々自転車生活ゆえどうしてもお尻の部分に負荷がかかって穴が開いてくるんですよね。

 さらに愛用年数が長すぎるというのもある。今最も愛用しているスカートは元チノパンで、もう軽く15年は着ている。こう古いと破れだけじゃなく、どう洗っても生地の汚れが取れず色むらがすごい。でもこれがなぜだか人様によく褒められる。

 そういえば、80年代に日本のブランドが「ボロルック」で世界を驚かせ、ファッションを理解しないオジサンどもに「単なるボロとどう違うのかね」などと揶揄されていた。当時10代の私は「これだからオヤジは……」などと思っていたが、今や自分がその「単なるボロ」をリアルに着ているのだから人生はわからない。

 なんて思っていたら、今ボロボロの汚れたスニーカーを世界のハイブランドが売り出して何十万円も払って買う人がいると聞いた。いやまさに、それって「単なるボロとどう違うのかね」と思う私であります。っていうか実際、ここ数年、夏になると連日ヘビロテで履いてる大好きな靴は4年前の沖縄出張で靴が壊れて慌てて買った400円のビーサンでリアルにボロい。で、こっちの方がよほどファッショナブルと勝手に思っている。単にオヤジ化しただけ?

◎稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

※AERA 2022年8月15−22日合併号