5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
case.35 部屋のイメージを共有して理想の家に
夫+子ども1人/教員
例えば、あなたが2〜3人でお友だちの家に遊びに行ったとします。あなたが「きれいにしているな」と思っているのに、「もう少し片づけた方がいいのにな」と思うお友だちがいるかもしれません。
今までの人生の環境や経験によって、同じモノを見ても感じ方は人それぞれです。それは、一つの家に一緒に住んでいる家族にとっても同じことが言えます。
今回ご紹介する女性は、夫と片づけのイメージやゴールにギャップがあったことを話してくれました。
「私は昔から片づけができなくて、どうにかしたいとずっと思っていました。でも、夫は家の中が散らかっていても平気なタイプ。実際、私が片づけを本気でやりたいと話したときに、『俺は今のままで困っていない。散らかっていても、なんとも思わない』と言われました」
それまで彼女は通信講座のテキストを読んだり、片づけ上手な人のSNSをフォローしてマネしたり、ずっとがんばってきました。でも、すぐにまたモノが散乱してしまって元通り。
そんなときに家庭力アッププロジェクト®の存在を知り、講師の人にしっかり教えてもらう方がいいのでは、と参加を決意。
広めの4LDKの家の中には収納もたくさんありますが、夫婦ともに捨てられない性格のためにモノがあふれていました。さらに、生まれて4ヶ月の息子のモノもどんどん増えていきます。
「お散歩に出かけるときも、息子のお散歩グッズを忘れたからとリビングまで戻ったり、あちこちに置いてあるマスクを取りに行ったり……。スペースがあるだけに何も考えずにモノを置きっぱなしにしていたので、ムダな動きが多かったです」
プロジェクト序盤は、モノの量を減らすために家の中のモノと向き合います。彼女は思い出の詰まったモノをなかなか手放せないので、これはとても苦労する作業でした。小学校の頃の手紙や当時コレクションしていたメモ帳、中学校・高校時代の手帳など、ずっと保管していたモノばかり。
「あまり見返すこともないのに、入れられる場所があるから押し込めていたんです。でも、プロジェクト中に聞いた『空間が未来を助ける』という言葉が刺さりました。今、私と夫のモノだけでパンパンなのに、これから増えてくる息子のモノをどうしようと思って。何もない空間があってもいいんだ!と、気づきました」
モノを手放すスピードがアップすると、家の中がみるみるスッキリしてきました。
夫のモノは依然として片づかないままでしたが、彼女は夫に「片づけて」と催促することは決してありませんでした。その代わり、「床がきれいになったら、子どもがハイハイできるね」「私はこの本をリサイクルに持って行くけど、何か一緒に持って行く本ある?」など、気持ちを促す声かけを続けました。
すると、夫の行動に変化が見られました。ある日、夫が急に「手伝うことある?」と話しかけてくれました。
「うれしかったですね! たぶん、息子にとってのメリットを伝えたのがよかったと思います。そこから、いろいろと相談できるようになりました」
彼女は、夫と片づけのイメージを共有することが大切だと気づきます。「リビングではテレビを見る。くつろぐ」など、部屋ごとに理想を書き出して壁に貼りました。夫婦でゴールを明確にできたので、お互いにやるべきことが自然と見えてくるように。
特にイメージの共有が役に立ったのは、キッチン。夫が料理好きなので、夫婦ともによく使う場所です。
「私が使うときに計量カップがなかったり、同じ調味料がいくつも出てきたり、ということがよくありました。ちょっとしたことですが、ストレスだったんです。でも、今ではそんなことがなくなりました」
すべての片づけが終わった今、キッチンのモノは「どこに、どれだけあるか」を夫婦で理解しています。ある日、彼女が料理酒を補充しておくと、夫が「使い切ったはずなのに、ある!」と驚きました。「買っておいたよ」と伝えると、夫は「ありがとう!」とお礼を言ってくれるという微笑ましいシーンもあったと言います。
キッチンだけではありません。
新しくキャンプ道具を買うときに、彼女が夫に「どこにしまうの?」ときいてみたら、「3階のクローゼットかな」と彼女が想像していた場所を答えてくれました。アウトドア用品をどこにまとめているかということ、さらにそこに空間があるということを、2人とも把握できているということです。
「片づけながら、ふと思ったんです。みんなで暮らす家だから、私だけじゃなくて、夫と一緒に片づけができるようにならないとって。今では、私が疲れて動けないときに、夫がササッと私がやる以上にきれいに片づけてくれます」
自分のコンプレックスを克服するための片づけのはずでしたが、彼女の本当の気持ちは最初から「家族が快適に暮らすための家づくり」にありました。そこに自分で気づけたというのが素晴らしいですね。
教員として働く彼女は、現在育休中。職場に復帰したら、職員室や教室の机周りなどを片づけて、効率的に働けるイメージが湧いていると言います。
「でもその前に、今の時間を思いきり楽しもうと思います。育休中に一番やりたかった家の片づけが、もう終わっちゃったので。読みたかった本を読んで、夫にまかせっきりの料理も少しずつアップデートして……」
何事にもやる気がいっぱいの彼女は、これからやりたいことがたくさんあるようです。
「今しかない息子との時間も大事にしたいですね。家の中がきれいだと、背景を気にせずに写真や動画を撮れます。そのまま義両親に送っても大丈夫!」
そう笑う彼女は、ロボット掃除機が動くたびに「片づけてよかったね」と夫婦で話しているとも話してくれました。
片づけ始めたときは生後4ヶ月だった息子は、今では家中を思いきりハイハイして回り、つかまり立ちもするようになりました。夫婦が目標としていた光景です。ゴールをともにして、一緒に片づけて、喜びも分かち合う。「家」への気持ちが一つになった家族は、理想に向かってすごい力を発揮するということを改めて教えてくれました。
●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。
片づけたら、「散らかったままでいい」と言っていた夫が変わった

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