「生活保護」の状態から、奨学金や借金でハーバード大学に進学したパトリック・ハーラン(パックン)が、投資を意識し始めたきっかけは、母が大事故にあったことでした。経済状況が厳しい今だからこそ、「投資をしておくべき」というパックン式メソッドを、最新刊『パックン式 お金の育て方』から、一部を抜粋・再編して大公開します。

*  *  *
■未来の不安を取り除くために「お金の元」を作ろう!

 現在、株価が下落したり、全世界的に物価が高騰したりしています。

 日本では、円安が進んで、過去数十年でもめったになかったほどのレートになりました。

 こうなってくると、将来どころか今のお金についても、「大丈夫かな」と心配になる方も多いと思います。

『パックン式 お金の育て方』ではこんな状況でも、手堅く無理のないお金との付き合い方を紹介しています。

 その中でも、今とくにお教えしたいのは、収入源をいくつか持っておくことです。

 僕は、自分の身体を使って得る収入をアクティブインカム、いわゆる働かずに得る収入をパッシブインカムとして整理しています。

 収入源をいくつか得るためには、この中のパッシブインカムを手に入れることを目指しましょう。

 そして、パッシブインカムを得るためには、「お金の元」を持つ必要があります。

 では、あなたはどうやってお金の元を作りますか?

 あなたに作曲の才能があれば、ヒット曲の印税が得られるかもしれません。

 YouTubeですごい人気者になれば、昔作った動画でもずっとグーグルが広告料を払ってくれるはずです。

 すごい発明をしたら、ライセンスの代金や使用料がもらえるでしょう。

 でも、そういうことが誰にでもできるわけではありません。

 ほかの人にない才能やチャンス、運に恵まれた人でなければ、なかなか難しい。

 ここで落ち込んだ人がいるかもしれないけれど、大丈夫!

「投資」という、誰でも手に入るお金の元があるから。

■ギャンブル嫌いの母の影響で投資を避けていたパックンがお金を育て始めた理由

 僕がこんなふうに投資をポジティブに考えるようになったのは、高校生のときでした。

 実は小学生の頃から、クリスマスプレゼントに親から株をもらって、「俺はコカ・コーラのオーナーなんだぜ!」なんて威張っていた友達のことを見て、ちょっとうらやましいな、とは思っていました。

 しかし、それはお金のある家庭だけができる、危ない遊びで、僕らとは関係ないと思い込んでいました。

 僕の家は毎月ギリギリで生活をしていたので、母の教育としては、ギャンブルなんてもっともやってはいけないことでした。

 価値のないモノを買うなんて絶対に許されなかったし、万が一、ギャンブルに勝ったとしても、誰かのお金をもらうことになるのです。

 母からは「相手が私たちと同じぐらい困っている人だったらどうする……?」といった話をよく聞かされました。

 アメリカで相手と意見が違うときは「Wanna bet?(じゃあ賭ける?)」と言ったり、予想するときは「I bet….(……になるように賭ける)」と言ったりして、なぜか賭博っぽい慣用表現が多いです。

 無意識に使うものではありますが、そんな言い方ですら、母は毛嫌いしていました。

 そんなギャンブル大嫌いな母も、あることをきっかけに投資を始めたのです。

 それは、僕が高校2年生のとき、母が交通事故にあったときのことです。

 車を運転していた母は、飲酒運転をしていた車に正面衝突され、複数箇所を骨折するなどの大ケガをしてしまいました。

 母は、何年もリハビリが必要だと、医師に言われましたが、それでも元どおりの健康体に戻る保障はありません。

 そこで、まとまった保険金をもらった母は、将来の医療費のことを考えて、投資を始めたのです。

 母が投資に積極的になったのは、まとまったお金が初めて手に入ったからだけではなく、事故によって人生のリスクを痛感したからだと思います。

 それまでは、失業保険や生活保護もありましたが、母の収入は主に仕事で稼いだアクティブインカムのみでした。加えて、徹底的な節約で家庭を支えてきました。

 いつも金銭的にはギリギリな状態でしたが、何とか生活はできていました。

 しかし、母が病気やケガなどで仕事ができなくなれば、僕ら家族の生活は一気に立ち行かなくなります。考えただけでも恐ろしいことです。

 事故のせいで将来に医療費がかかるかもしれないし、本来の想定より早く引退しなければならないという可能性もあります。

 不安定なアクティブインカムの心配が生まれた分だけ、今後の生活や老後のための備えも考えなくてはいけません。

 そうしたことに気づき、母は投資を始めたのではないかと、僕は推測しました。

 とにかく、あんなお堅い母が投資を始めたことで、僕は「投資とギャンブルは違う」「投資は安心できる人生づくりにおいて必要なものなんだ」ということを肌で感じました。

(構成/増田侑真) 

パックン
本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。
25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。
最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。