子どものものがリビングにあふれていたり、いつも「片づけなさい!」と怒鳴ってしまったり……。部屋の片づけはいつも親の頭を悩ませるもの。独自のメソッドで「片づけの習慣化」をサポートする、AERA dot.のお片づけ連載でもおなじみの西崎彩智(にしざき・さち)さんが、ママ・パパたちの片づけにまつわる悩みに答えてくれました。子育て情報誌「AERA with Kids」インスタライブを一部編集してお届けします。

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Q)子どもがリビングで学習しているので、ダイニングテーブルはいつもごちゃごちゃ。スッキリするにはどうしたらいい?

A)リビング学習されているおうち、多いですよね。私自身の子どもたちもリビングで宿題をしていました。でも、ご飯を食べるところに勉強道具がある……、これはママたちの共通の悩みだと思います。

 一番効果的な方法は、適材適所にものを置くこと、そして時間で区切ること。ダイニングテーブルは時間によって「勉強をする」「ご飯を食べる」「家族でくつろぐ」と役割が変わります。ご飯の時間までに勉強道具を置く必要はありませんよね。勉強の時間が終わったら、勉強道具は子どもの部屋や自分のスペースに移動させるなど、時間によってテーブルに置くものを区切ってください。いったん作業を完了させ、自室で管理するという仕組みができると、子どもの自立にもつながります。

Q)小学校3年生くらいの子が自分で片づけをするために、親が意識すべきことは?

A)お片づけに年齢は関係ないと思います。私の知っている限り、1歳2カ月の子も自分の脱いだ服を洗濯機のそばに置いていました。保育園でも、自分のかごのマークを見つけて、おもちゃや私物を片づけていますよね。

 なぜそれができるかというと、いつも決まった場所に返すからです。本人がわかりやすい場所、仕組みがあれば、お片づけは小さな子でもできます。親が意識するのは、片づける場所が決まっているか、かつ、そこに取り出しやすく戻しやすい仕組みができているかということ。もし、ものを取り出しやすくとも、しまうときに手こずる仕組みであると、結局しまうのが面倒になり床に散らばってしまいます。

 また、去年ちょうどよかった場所が今年は低くなるなど、大人の思う以上に子どもの成長は早いので、成長に合わせてものの置き場を変える必要も。ものの量や質も小学校低学年と高学年とでは違うので、段階に合わせて変えていくことがポイントです。

Q)学校や塾の大量プリントの整理、困っています。

A)まずは本当に何が必要なものかを選別する必要がありますね。終わったもの・振り返る必要のないものと残すものとを選別しましょう。大量にたまってからだと分けるのも大変なので、少ない枚数のときからスタートさせたいものです。

 そしてそのプリントをまとめてファイルにとじるのか、一枚一枚見られるようにしまうのか、教科ボックスの中に入れるのか、子どもの性格によってどう整理したら効果的かが違うので、一緒に考えるとよいですね。そしてまずは親がプリントのとじ方、整理の仕方を教えてあげることです。まず一つ目のファイルは一緒にやってみて、子どもに「できた」という経験を積ませてあげるのもおススメです。

Q)子どものお片づけ、親はどこまで関与すべき?

A)子どもの性格や、親がどれくらいの時間家にいるのか……というので違いますが、そもそも「片づけなさい!」がNGワードです。子どもは、「片づけなさい」と言われても、何をどうしたらいいのかわからない。そして、親にとってのきれいと、子どもにとってのきれいは違います。「ジャンパーはここのハンガーにかけようね」など、具体的にゴールを示してあげることが重要です。小学校低学年の子なら「すごい! できたね!」と褒めてやる気にさせるのもいいですね。

 最初は子どもと一緒に片づけて、「これが『きれい』ということだね」と写真を撮って残しておくのもいい。「こうなると完成」というゴールを示してあげると、家族で「きれいな状態とはこういうことだ」という共通の認識を持つことができます。

Q)親が片づけられないのに、子どもに片づけてと言えません……。

A)厳しい言い方ですが、子どもは親のことを見ているんですよね。だから、まずは親から片づけをしてみることです。片づけたらこんなに家が広くなる、こんなに気持ちいいとわかると、子どもたちも急に片づけるようになりますよ。繰り返しますが、子どもに片づけてほしかったら、親がまずやってみるのが一番の近道です。

 ママやパパが片づけで大変な思いをしていると、子どもが「ゴミ捨て手伝おうか?」などと話しかけてくれることもあります。そこでママが「わーありがとう!」と言うと、子どもも「片づけって褒められるし、役に立つかも!」とわかります。

Q)お片づけ、まず何から始めたらいい?

A)大人も子どもも、まずやってほしいのは、自分がどんな暮らしをしてみたいかを家族で話し合ってみることです。「本当はこんな暮らしがしたいよね」と思い描いて、その生活のために「これはいる」「いらない」とものを分ける。そこから片づけの場所や仕組みをつくって、さらにルールをつくる……と段階を踏んでいきます。まずは部屋がスッキリした素敵な暮らしをイメージすることからスタートです!

Q)子どもが何でもものを残してしまいます。どうしたらいい?

A)お片づけの鉄則は、「子どものものは勝手に捨てない」ということ。私自身も昔、子どものドングリを捨ててしまって「友達に見せる約束したのに!」と泣いて怒られて失敗したことがあります。自分にとっては不要なものでも、子どもには宝物なのです。

 とはいえ家のスペースは限られているので、一つの箱を渡し、ここに入る分は何でも残していいよと伝えてみてはどうでしょう。子どもは、ここに残すか残さないか、自分で判断や取捨選択ができるようになります。

Q)お片づけ、いつかできるようになりますか?

A) いつかできるように……、なりません!

 お片づけは自然に覚えるものではなく、環境がつくるもの。つまり、親が自分で片づけ、自分でその良さに気づくことで、子どもも変わっていきます。いつかできるかな、と思っているままでは一生できないままです。

片づける、と一言で言っても、「何をどうしたらいい」「片づけたらどうなる」ということまで具体的にイメージして動くことがポイントです。

(構成/AERA with Kids 編集部・平井啓子)

〇西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。