性教育やジェンダー教育で、多様な性や区別しないことを伝えたいと願う人が増えている。関根麻里さんもその一人だ。父・関根勤さんの性教育への姿勢、子育ての場で実践していることなどを聞いた。 AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。

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 7歳(小学1年)と3歳の娘の子育てをしています。性について彼女たちが疑問を抱いたとき、それに答えるためのコミュニケーションを取れる環境づくりが大切だと考えています。

 私が子どものころは、父(タレントの関根勤さん)が性教育に向き合ってくれました。中学生のとき、テレビでタレントさんたちが包茎手術の話をしていたんです。「包茎って何?」と聞くと、父は「あーそっか、わかんないか」と紙を出してきて、絵を描きながら説明してくれました。照れるでもなく、ごく普通の態度で。振り返っても、父のその姿勢はとてもよかったと思うんです。変に濁されたり親の緊張が伝わったりすると、こっちも「変なこと聞いちゃったかな……」となりますよね。

 お風呂も中学1年まで父と一緒に入り、ふざけて遊んでいました。特に違和感はなかったですけど、その年齢になると周りの友だちも入らなくなり、父と話し合い「じゃあもうそろそろ、やめようか」と。オープンで、何でも話せる雰囲気を作ってくれていたと思います。

 私も娘からの疑問には、変に照れたりせず答えたいですね。

 あるとき幼稚園で「自分の体にはプライベートな部分があって、そこは大切な場所だから他の人に触らせてはいけないよ」と先生から聞いてきたので、私からも改めて、その大切さについて話をしました。

 4歳のときには「どうやって赤ちゃんは生まれるの?」と。「おー来たか」と思いつつ(笑)、この成長段階だとどこまで話すかなと考えて、「男の人と女の人がいて、家族になって生まれるんだよ」とだけ答えました。娘にはまた次のどこかのタイミングで、くわしく説明してあげたいと思っています。

 性の多様性も伝えていきたいです。ジェンダーバイアスを持たないよう、「女の子だからこうしなさい」と言わないように気をつけています。例えば娘が足を広げて座っているときには「女の子だから足をそろえて座ろうね」ではなく「スカートのときは足を閉じて座ろうね」。「女の子だから」「男の子だから」は押しつけたくないんです。

 家族の形も、お父さんが2人だったりお母さんが2人だったりもあるし、女性男性のカップルもいれば女性同士、男性同士のカップルもいる。そんな多様性も今の年齢から教えていきたいです。あらたまって話を切り出すのではなく、絵本や映画に出てくる多様な性のキャラクターに合わせて、自然な会話の中で「こういう人もいるね」と教えていくようにしています。

 子どもの性への疑問には躊躇(ちゅうちょ)せず、淡々と。夫ともその大切さは共有していますし、これからも家族で自然に話し合っていけたらと考えています。

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2023年1月30日号