タレント、俳優、ドラマのプロデューサーなど、多彩な活躍を見せるMEGUMIさんは、思春期男子のママでもあります。「思春期ですが、“反抗期”ではないですね」と話しますが、その背景には小学生時代から向き合い、話し合ってきた積み重ねがあるようです。プレ思春期ママ、必読のインタビュー。発売中の「AERA with Kids 2023年春号」(朝日新聞出版)から一部抜粋してお届けします。

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■イマドキ思春期はテンション低めです

 春から中3になる息子は、ここ数年でとても変わりましたね。急激に背が伸びて、声も変わり、同時に天真らんまんさのようなものが薄れました。親子の立場が逆転するような発言もあります。

 まさに思春期。といっても、反抗的ではありません。息子の友だちもそう。穏やかで、優しくて、テンションが低いなぁって感じることもあります。

 彼らは思春期の入り口でコロナ禍に突入した世代です。おしゃべりしちゃいけない、外出しちゃいけないって言われた影響はあると思います。リアルよりバーチャルが身近で、情報はたくさん知っているんだけど体験が圧倒的に少ない。だから言っていることは大人びて、妙に現実的なんだけど、「それは本当に正しいの?」と問われるとあやふやだったり……。

 大人になろうとする息子を尊重はしますけど、リアルを知る大人として教えるべきことは、まだたくさんあると思っています。情報が特に多い世代なので、親もちゃんと考えて、誠実に話さないと信用してもらえません。

 彼らが大人になったときは、きっと今よりさらにグローバル化が進むでしょう。だからこそ、誰かの言葉に振り回されるのではなく、自分の頭で理解して、自分の言葉で表現できる人になってほしいんです。

 ぶつかることもありますが、高校生になったら親子の時間は物理的にも減りますよね。ここから高校受験までの1年間は、うるさがられてもいいからしっかり向き合っていこうと思っています。

■中学受験を全力サポート 「やめる」なんて勘弁して!

 実を言うと、息子は中学受験をやめているんです。

 しかも「やめたい」と言い出したのが6年生になってから。最初は「はあ?」でした。学校の情報を集めて、いい塾やいい家庭教師の情報を集めて……親なら当たり前かもしれないけれど、全力でサポートしてきたつもりでした。それを全部ナシにするなんて勘弁してよ!と、大反対しました。

 それから半年間、「やめる・やめない」のせめぎ合いがあり、結局は受験目前になって「やめる」という決断を受け入れました。正直、キツかったです。それでも息子の意見を受け入れたのは、「私が反対しているのは単に、ここまでの私の努力を結果で証明したいだけ」と気づいたからです。息子のためじゃなくて、自分のために反対してるんじゃん……って。

 結果としては、やめてよかった。でも高校受験に向けて「これがラストチャンス」という思いはあります。義務教育じゃないので、ここでがんばるしかない。「勉強は苦手。嫌なことはしたくない」という気持ちと闘えるか、見守っていきたいです。

■プレ思春期に見えた私の知らない息子の顔

 振り返れば、彼の個性みたいなものが明確になったのは、小学校4年生ぐらいだったと思います。それまではまだまだかわいくて甘えん坊で、息子のことは全部知っているような気がしていました。

 小4のとき、息子は自分で希望してオーディションを受け、映画に出演したことがありました。大人の中に交じって表現する姿を見たとき、「かわいい、幼いと思っているのは自分だけだった」と気づきました。

 私の知らない顔で大人と話し、がまんし、努力もできていた。9歳でしたが、精神面では大人に近づいていました。

 とても素晴らしい体験をさせてもらった息子ですが、いまのところ俳優業に進む予定はないみたいです。理由を聞くと、「演技は恥ずかしい」って。ええ? そういう理由なの?と、私はけっこう驚きましたけどね(笑)。

 小4ぐらいのプレ思春期って、実はものすごく変化の時期だと思います。受験するか決めたり、新しい習い事を始めたり。親はその選択や送迎に時間をとられるし、「やめたい」と言われると「やめさせていいのか」と親も迷います。本人の主体性と親の価値観のせめぎ合いですよね。その始まりの時期がプレ思春期なのかなと思います。

※「AERA with Kids 2023年春号」から一部抜粋

(取材・文/神 素子)

〇MEGUMI/1981年生まれ。岡山県出身。2008年に結婚。翌年2月に長男誕生。現在は俳優としてドラマや映画などで活躍する。22年にドラマ「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」を企画・プロデュース。金沢市では「Cafeたもん」を経営する。母親役で出演した映画『赦(ゆる)し』が公開中。