『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』の決勝進出者ゆりやんレトリィバァ

 11月22日、『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』の決勝進出者が発表された。

 過去最多の863組が挑んだ今年の大会でファイナリストに選ばれたのは、あぁ〜しらき、エルフ、スパイク、ハイツ友の会、はるかぜに告ぐ、紅しょうが、変ホ長調、ぼる塾、梵天、まいあんつ、やす子、ゆりやんレトリィバァの12組。

 年齢・芸風・知名度もそれぞれ違っていて、実にバランスの良い顔ぶれとなった。決勝は12月9日に行われる。

 漫才の大会『M-1グランプリ』やコントの大会『キングオブコント』に比べると、女性芸人限定のお笑いコンテストである『THE W』は、後発ということもあって世間の注目度もまだまだ低く、あまり話題になっていない。

 また、お笑い界は男性が圧倒的多数を占める男社会であり、男性芸人の存在感が大きい。そのため、少数派の女性芸人は世の中からも軽く扱われてしまいがちなところもある。

■出場者に価値のあるコンテスト

 しかし、『THE W』という大会には独特の存在意義があり、出場する芸人にとっても価値がある。この手のお笑いコンテストでは、優勝したり決勝に出て活躍したりすると、それをきっかけにして仕事が増えたりすることがある。

 その側面から考えると、『THE W』王者のその後のブレーク実績は、ほかの大会と比べても決して見劣りしない。

 過去6回の大会で優勝しているのは、ゆりやんレトリィバァ、阿佐ヶ谷姉妹、3時のヒロイン、吉住、オダウエダ、天才ピアニストの6組。

 優勝した時点ですでにテレビの人気者だったゆりやんレトリィバァ、阿佐ヶ谷姉妹の2組は例外として、それ以外の4組は優勝をきっかけに一気に飛躍した印象がある。

『THE W』から羽ばたいた最初のスターは、2019年に優勝した3時のヒロインだろう。明るくポップなキャラクターの若手女性トリオとして注目され、多数のバラエティ番組やCMにも出演を果たした。

■バラエティからドラマも

 トリオの司令塔である福田麻貴は単独でもバラエティやドラマの仕事をこなしていき、独自の地位を確立した。24年1月スタートのフジテレビ系列のドラマ『婚活1000本ノック』では初めて主演を果たす。

 20年優勝の吉住も、地味で卑屈なキャラクターの女性ピン芸人として注目されるようになった。業界内ではネタのクオリティの高さと演技力が評価されていて「孤高の天才」として知られつつある。『イワクラと吉住の番組』というレギュラー番組も人気を博している。

 オダウエダ、天才ピアニストの2組も、ネタの面白さが認められて、芸人としての格が上がり、バラエティの仕事も増えてきた。実質的にはチャンピオンのほぼ全組が結果を残しているのだ。

 この大会を主催する日本テレビは、優勝者が同局の番組に出演する権利を得られることを保証していて、彼女たちをしっかり後押ししている。そんなサポート体制が明確に存在するというのも頼もしい。

 今年のファイナリストは何かと話題に事欠かない。まずは、初代王者のゆりやんレトリィバァ。来年には活動の拠点をアメリカに移すと公言している彼女は、渡米前に優勝したいと意気込みを語っていた。

■次なるスターは誰か!?

 やす子、ぼる塾、エルフはすでにバラエティ番組でも活躍していて、魅力的なキャラクターを持っている。紅しょうが、ハイツ友の会は関西の実力派漫才師であり、今年の『M-1グランプリ』でも準々決勝まで進んでいた。

 期待の新人枠では、芸歴1年目のはるかぜに告ぐ、芸歴2年目の梵天にも注目したい。どちらも駆け出しの若手とは思えない落ち着いた雰囲気を持っている。さらに、今大会のダークホースと言われるのがアマチュア芸人の変ホ長調だ。彼女たちはかつてアマチュアとして史上唯一の『M-1』ファイナリストになった伝説の芸人である。

 女性の大会だからと色眼鏡で見るのはもったいないくらい、『THE W』はさまざまな可能性を秘めたお笑いコンテストである。明日のスターが生まれる瞬間を見逃さないようにしてほしい。(お笑い評論家・ラリー遠田)