瀧内公美(写真:つのだよしお/アフロ)

 夜のバスの車窓から、街の景色を眺める仕事帰りの女性。「好きなこと 私のペースで いつだって自分らしく」との締め言葉。映画のような雰囲気と女性の表情が印象的なアマゾンプライムのCMを一度は目にしたことがあるのではないだろうか。SNSでは「CMの女優さんキレイだな」「何げない風景だけなのに、このCMの雰囲気いいなぁ」など世界観に魅了される声も多く、注目度の高さがうかがえる。

 CMに登場しているのは女優の瀧内公美(34)。男女が逆転した大奥を描く話題のドラマ「大奥 Season2」幕末編(NHK)で、老中・阿部正弘役を好演している実力派女優といえばピンとくる人が多いかもしれない。実際、視聴者からも「AmazonプライムのCMの人か! 大奥の阿部正弘…同一人物だと今気付いた」という声が多く上がっていた。

「聡明(そうめい)で人望の厚い阿部正弘を演じるにあたり、瀧内さんは『原作で描かれていた正弘の柔らかさを取り入れつつも、若くして亡くなる人物でもあるので、物語の始めの方はすごくファニーに演じました』とコメントしていました。その言葉通り、同作のファンからは『ほんわかした笑顔の芯にある、誠実で揺るがぬ魂に泣けた』『ちょっとふんわりした独特の雰囲気ながら、胸打つお芝居でした』とその演技に絶賛の声が相次ぎました。11月14日放映の第17話では、正弘が志半ばにして病を患い、隠居するという展開だったのですが、今まで支えてきた13代将軍・徳川家定とのやりとりで、お互いを思い合う主従を超えた愛あふれる関係性に『涙なしでは見られない』と胸を打たれる視聴者が続出しました」(テレビ情報誌の編集者)

瀧内公美(写真:ZUMA Press/アフロ)

■監督に直談判し主役をゲット

 瀧内は「初めて(17話の)台本を読んだ時は、自分のシーンであまりにも感情移入しすぎて涙が止まらなくなってしまって。セリフが一番覚えられなかった」とコメントしている。起用に際し、当初は「地味」という声も聞かれたが、フタを開けてみれば、いい意味で視聴者を裏切る結果になったようだ。

 瀧内が本格的に女優活動を始めたのは、大学を卒業後で他の女優と比較するとやや遅めといえる。しかし、活動半年後に映画「グレイトフルデッド」(2014年)の主演をオーディションで射止め(笹野高史とのW主演)、19年には主演した映画「火口のふたり」での影のあるヒロイン役が高く評価され、「キネマ旬報ベスト・テン」主演女優賞に輝く。映画作品への出演が多かったが、ここ数年は「共演NG」(テレビ東京系・20年)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系・21年)、「リバーサルオーケストラ」(日本テレビ系・2023年)など話題のドラマでも活躍し、存在感を発揮している。

2014年「グレイトフルデッド」で主演を務めたころの瀧内公美(中央)

「クールビューティな印象のある瀧内さんですが、バラエティー番組やトーク番組では屈託のない明るい笑顔で、劇中イメージとのギャップがまた魅力です。行動力も抜群で、素人時代、映画の撮影現場にたまたま遭遇したそうなんですが、すごく楽しそうで、募集していたエキストラに申し込み、そのまま撮影に参加。そしてその帰り道、オーディション雑誌を購入し、一つ目に見つけた芸能事務所に応募したと過去に語っています。結果、所属することになったというからすごいですよね。また、自分でプロフィルと出演作『彼女の人生は間違いじゃない』のDVDを名刺代わりに、『次回作に出たいです』と監督に直談判したこともあるそうで、それが春本雄二郎監督作品『由宇子の天秤』への主演につながっています」(映画ライター)

瀧内公美(写真:ZUMA Press/アフロ)

■門脇麦からは「頭が良すぎるリス」

 11月18日に「土スタ」(NHK)に生出演した際は、仲の良い友達として女優の門脇麦がVTR出演。瀧内のことを聞かれると「私より早口」、「よく笑うくせによく泣く」など、彼女の意外なプライベートを明かしていた。また門脇は、瀧内がせわしなく、頭の回転が速いことから、例えるなら「頭が良すぎるリス」と表現。瀧内は驚きつつも、その答えに大爆笑していた。

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、俳優としての彼女の魅力についてこう分析する。

「瀧内さんはバラエティー番組などで見せる明るい表情とはうって変わって、キリッとしたまなざしと大人の雰囲気を漂わせる落ち着いたたたずまいがとても魅力的です。2019年のドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』では、石橋菜津美演じる主人公の友人でありながら、実は彼女の夫と不倫をしていたという難しい役どころでしたが、二面性のあるキャラをとてもうまく演じていたのが印象に残っています。また、柳楽優弥主演のドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』では、井上真央演じる塾の新任講師の相談相手となる先輩講師を好演していました。今年末から来年にかけて『大奥』や来春の大河『光る君へ』と時代劇への出演が続きますが、現代劇でも十分に存在感を発揮できると思いますので、彼女を主役に起用したドラマをもっと見てみたいですね」

 アマゾンのCMから火がついて、瀧内の演技への注目度はますます高くなりそうだ。

(高梨歩)