立憲民主党の小川淳也氏(撮影/上田耕司)

 2月16日から全国で一斉に始まった確定申告の会場では、納税者の“怒り”が充満しているようだ。自民党議員の裏金問題が“脱税”との疑念が持たれているなか、確定申告会場で職員が「なぜ自分たちだけが納めなければいけないのか」などのクレームを受けていることを報道番組などが報じている。そこで今、改めて注目されているのが、立憲民主党・小川淳也衆院議員の4年前の国会質問。麻生自民党副総裁に「税金の本質」について迫った小川氏の質問は喝采を浴びた。だが、それでも自民党は何も変わらなかった。小川氏に改めて話を聞いた。

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「当時の質問が、今回こういう形で注目されるのは情けないやら、申し訳ないやら、複雑な気持ちです」

 立憲民主党の小川淳也衆院議員がこう語る「質問」とは、2020年2月20日に開かれた衆院予算委員会での質疑。小川氏は麻生太郎自民党副総裁(当時は財務相)をこう追及した。

<今週から確定申告が始まりましたね。今、一生懸命、納税者は税務署へ行って、証拠書類を提出して、正確に納税申告書を書いて、1円までミスのないように税金を納めています。大臣、納税者に一体、証拠書類を何年保存させているかご存じですか>

 面食らったのか、麻生氏はこうかわした。

<事前通告はありませんでしたね。間違える可能性があります。この場では差し控えさせていただきます>

「桜を見る会」で演説する安倍晋三元首相

■「桜を見る会」問題での不誠実な答弁

 すると、小川氏はたたみかけた。

<税金を払う側にはやれ5年保存しろ、7年保存しろ、正確に書け。使う側は何に使ったのか誰に使ったのか、情報管理が不安だからとして廃棄。そんな話は許されるんですか。不届きだ。単に不都合を隠蔽(いんぺい)しているだけでしょ。おかしなものが混じっているから出せないんです。正直にそう言った方がはるかにマシですよ>

 質問をした当時の状況を、小川氏はこう振り返る。

「当時は『桜を見る会』の招待者名簿の中に、マルチ商法の主催者、反社会的勢力、安倍晋三氏の選挙区の有権者が大量に入っているという疑いがありました。税金を使って開催される行事なのですから、誰を招待したのか説明責任があるという問いに対して、(麻生氏は)『管理が不安なので1年で廃棄したので、ありません』と答弁された。その押し問答の中で出た質問です」

 麻生氏が「事前通告がなかった」として回答しなかった点についてこう語る。

「私が事前通告しなかったのは事実ですが、これは税務の基本事項です。長年財務大臣を務めてきた麻生氏の答弁としては、いかがなものでしょうか。所得税の申告書類の保存期間が書類によって7年、または5年だと知らないということは、所得税の時効を知らないということにもなります」

 岸田文雄首相は確定申告が始まる2日前の2月14日、衆院予算委員会で「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようにお願いしたい」と述べた。すると確定申告初日(16日)には、全国各地で自民党派閥の政治資金パーティーの裏金問題に対する批判が相次いでいることが報じられ、X上でも「確定申告ボイコット」というハッシュタグを付けたネットデモが、ピーク時には10万件を超える盛り上がりをみせた。

「確定申告を呼びかけている側に、何百万、何千万円単位の使途不明金がある。民間会社では使途不明とした場合、高税率で法人税を支払っているんです」(小川氏)

2728万円もの「使途不明金」が発覚した萩生田氏

■萩生田氏は使い道がすべて「不明」

 政治資金収支報告書の不記載が判明したのは自民党の安倍派、二階派の議員82人。議員たちは2020年〜22年の収支報告書を訂正して提出したが、その使い道は、「飲食代」「会合費」「品代」「交通費」など判然としない。安倍派5人衆の一人、萩生田光一前政調会長に至っては「不明、不明、不明」が並ぶ「不明」だらけの訂正だった。

「本当にふざけた訂正です。あんなものが通るのなら、真面目に確定申告の帳簿書類を保管している国民からすれば『いいかげんにしろ』と思うのは当たり前でしょう。もし、本当に使い道が『不明』だらけなのなら、納税すべきです。私的に流用していれば脱税ですし、政治活動に使っていたとしても、透明化することを前提に政治資金が非課税になっているわけですから、こんな訂正は認められるべきじゃない。国民との関係でバランスがとれないし、フェアじゃありません。民主主義のルールに対する冒とくですよ」(同)

 野党は「裏金」が判明している自民党の現職議員82人のうち、全ての衆院議員51人に対し、衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を求めている。この51人の中には安倍派5人衆も含まれており、萩生田氏は18年から22年までの5年間で、収支報告書に不記載の裏金が2728万円にも上る。

「萩生田氏は3000万円近いわけでしょう。裏金が4800万円だった池田佳隆衆院議員は逮捕されました。それなのに、3000万円までだったら不問に付すというのはありえない。検察が長年培ってきた相場観があるのでしょうが、それは検察のルールや感覚であって、国民感情ではとても受け入れられないものです。これから検察審査会にも期待したい。やはり捜査権限がある検察と国税当局はしっかり国民のために権限を行使してほしい。ただ国民は、当局に直接指示はできません。最後は選挙の際に有権者にボールが返って来るのです。自分たちが選挙で選んだ議員がこれだけの不正を働いていたわけです。次の総選挙では投票権を行使して、そうした議員に退場を迫る権利を有権者は持っています。ですから、人ごとだと思わず、しかるべき審判を下してほしいと思っています」

次期代表戦への思いも語った小川淳也氏(撮影/上田耕司)

■次期「代表戦」への思い

 一方、政党から直接、議員に渡される「政策活動費」についても問題になっている。二階俊博氏は幹事長時代の約5年間に、総額約50億円を受け取った。茂木敏充前幹事長は22年分だけで9億7150万円。「政策活動費」は使途の公表は義務づけられていない。

「おかしいですよね。これだけでなく、官房機密費が毎月1億円もあります。それにしても、二階氏の50億円は巨額です。昔、(自民党のドンと言われた)金丸信氏の自宅を税務調査したら、金の延べ板などが30億円分くらい出てきたという話があった。不正な使途、不正な蓄財に本当につながっていないのかということは、本人に相当重い説明責任があると思います。本人が言わないのなら、当局に捜査権限を行使してほしいと思っています」

 4年前のように、小川氏が国会で裏金問題を追及する代表質問に立つ機会はないのだろうか。

「私は今、国会の衆院決算行政監視委員長という立場なので、代表質問や委員会質疑に立ちにくいのです。報道番組などにお声がけいただいた時は、一人の政治家としての信念を発言していますが、国会での発言が制約されている現状は、ちょっとフラストレーションがたまりますね」

 小川氏は21年の立憲民主党の代表選に出馬したが、次の代表選に出馬する意志はあるのか。

「それはなかなか公言できることではありません。今は、みんなで泉(健太)さんを支えなきゃいけない」

 ただ「一般論」としてこう熱い思いを語った。

「あの時(2021年)に挑戦させてもらった立場ですから、いずれ、野党をまとめて率いて、自民党にとって代わる勢力を作る。その時に大きな役割なり、責任を引き取らなければいけないという自覚がないのであれば、今日にも議員辞職した方がいいという思いではいます」

 自民党が裏金問題で揺れる今だからこそ、野党議員にも“胆力”が求められている。

(AERA dot.編集部・上田耕司)