撮影/大野洋介

 英語を学ばねばという思いはある。だが、時間はない。公私ともに多忙な30代以上にはいまさら…と諦めるのはまだ早いかもしれない。いま利用者がTOEIC L&Rスコアを伸ばしていると聞く、英語アプリというものを大人もしてみんとて──さて、結果は?。AERA 2024年3月4日号より。

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 勤勉な国だと思っていたのだが、実はそうでもないという。総務省が発表した「令和3年社会生活基本調査」によると、日本人の平均勉強時間は週13分。世界でも有数の、大人が勉強しない国らしい。「時間がない」ことを勉強しない理由に挙げる人は多いが、そんな大人に強い味方が現れた。スマホのアプリだ。

「スマホで勉強というのを初めてやりましたが、これがやりやすかった。通勤時間はもちろん、お風呂が沸くまでのちょっとした時間などに、ちょこちょこできたのがよかったです」

 そう話すのは、今回の「TOEICアプリ使ってみた」企画に参加してくれた、会社員のヒカルさん(34)だ。

 スマホを隙間時間に取り出せば、いつでもどこでも勉強部屋に。そうした使い方を想定して、数分程度で終えられるコンテンツが多いのも、TOEICアプリの特徴となっている。

 たった2週間の隙間勉強で、ヒカルさんのTOEIC参考スコアは575〜730点から630〜780点にアップ! いったいどう勉強したのか……そんな本題の前に、今回の企画のルールをざっと紹介しよう。

■予測スコアに一喜一憂

 今回、アプリを「使ってみた」のは4人。TOEIC受験の経験はあるが、最後に受けてから10年以上が経ってスキルがさび付いている3人と、今回が初受験の1人が、TOEIC対策の人気アプリの有料コースで学習。月払いプランだと月額3千〜5千円程度で、長期割引もあるアプリが多い。

 今回は学習期間を、あえて短めの「2週間」に設定、『公式 TOEIC Listening & Reading問題集』収録の模試を解いて、アプリの「使用前」と「使用後」の参考スコアを比較した。

 そのうちの1人が、冒頭のヒカルさんだ。1年間の活動を振り返って会社に提出する書類にTOEICのスコアを書きたいと、初めて受験したのは10年前。約600点だったスコアは、3カ月の勉強で730点まで伸びたという。

AIがその人に合わせた学習プランを提案。刻々と変わる予測スコアが、飴となり鞭となりユーザーのやる気をバックアップ

 今回10年ぶりのTOEICの学習で使ってもらったアプリは、英語教材で知られるアルクなどが運営する「Santaアルク」。まずは、どんなアプリなのかヒカルさんに紹介してもらおう。

「登録したらまず、3分でできる『スコア診断』を受けます。この結果から、AIによるTOEICの予測スコアが出る。そこから目標スコアを設定して、勉強をスタートしました」

 どのパートを中心に、何を学んだらいいのか。目標に到達するための学習計画をアプリが考えてくれて、日々、目標達成のためのおすすめの問題が出てくる仕組み。ちなみにヒカルさんはこの1回目のスコア診断で、640点をマーク。リーディングのパート6と7の対策を重点的に「おすすめ」された。

「ただ、おすすめの問題を解くたびに表示されるTOEICの予測スコアは、めまぐるしく上下。私の場合、スコアが500点台になってしまったことも。心が折れそうになって、1〜2日アクセスを休んでしまいました」

 そうして予測スコアに振り回されたが、まもなく気を取り直して学習を再開。

「解答時間もカウントされて急かされるので、問題を解く時間が足りなくて、最初はパニックに。でも、毎日英文に触れるうち、限られた時間のなかでも問題文の細かいところまで読めるようになってきました」

■わずか2週間で約50点アップ

 こうなると予測スコアもアップして、今度は強力なモチベーションになっていった。また、間違えた問題を繰り返し出題してくれるのも、アプリならではの強み。アプリの「使用前」にやった公式問題集を使った模試では、8問が時間が足りず“塗り絵”(問題を読む時間がなくなって、マークシートを適当に塗ること)だったが、アプリ「使用後」にはすべて問題を読んで解答できるようになった。

 その結果、公式問題集から導き出された参考スコアは、「使用前」よりほぼ50点高い、630〜780点までアップした。こうして2週間のミッションを終えたヒカルさんだが、このままアプリを続けて、4月の本物のTOEICに挑戦することに。目標は800点台だ。

■ヒカルさん

インフラ企業のIRを担当。10年前はキャリアアップのためにTOEICを受験して、最終的に730点まで伸ばしている。今回、株主向けの情報を海外にも発信することになったため、再度アプリで学習して、受験を決意

使った英語アプリ:Santaアルク

英語教材で知られるアルクとAIを基盤とする教育技術開発企業Riiid Inc.が運営するTOEIC対策アプリ。AIによって効率よく出題される

Before→After

Listening 73/100問→73/100問

Reading 64/100問→72/100問

計137/200問→145/200問

参考スコア575〜730→630〜780