午前11時40分から3回目の一般参賀で、にこやかにお手振りをする天皇ご一家。天皇陛下は朝から祭祀に臨み、両陛下は一般参賀の前後に宮殿だけで8回の祝賀行事に出席する=2024月2月23日、宮殿・長和殿(写真映像部・松永卓也)

 天皇誕生日の2月23日、天皇陛下は全国から皇居に集まった約1万6千人から祝賀を受けた。宮殿のベランダには、皇后雅子さまと長女の愛子さま、秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さまも立ち、参賀者からの大きな歓声に応えた。正装であるローブモンタントで手を振る女性皇族方。そのなかで雅子さまは、柔らかな布地のドレスをお召しだった。そこには理由があった。

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 品の良いロイヤルブルーに淡い黄色、深みのある紺に光沢のある白――。皇居・宮殿での行事で女性皇族が着用する美しいドレス姿は、ロイヤルならではの光景である。

 今回の一般参賀で雅子さまや愛子さま、紀子さま、佳子さまが着用したのは、日中の正装であるローブモンタントだ。

 ローブモンタントは通常、ハリ感のある布地で仕立てられる。愛子さまや紀子さま、佳子さまのように、皇室では京都の絹織物を用いてドレスが作るのが一般的だ。

 愛子さまの光沢のある白い布地にブルーグレーのアクセントがローブモンタントは、初お目見えのドレス。

 佳子さまのロイヤルブルーのドレスは昨年の「歌会始の儀」で着用したもので、華やかな帽子の青い薔薇は、佳子さまによく似合っている。
 

 一方で雅子さまは今回、ベルベットのような柔らかな素材のドレスを選ばれていた。昨年の新年一般参賀も、デザインが少し異なるが、ベルベットのような素材のロイヤルブルーの布地の胸元と袖口、帽子にビーズで豪華に装飾されたドレスだった。

 雅子さまはベルベット調のドレスを、ここ数年の一般参賀や宮殿での「講書始の儀」などでもお召しだ。この素材のドレスは皇太子妃時代にも着用していたが、ここ最近のものは肩や腕まわりなどがすこしゆったりと身体に優しそうで、着心地もよさそうに見える。
 

64歳の誕生日を迎え、各国外交団との「祝賀の儀」であいさつをする天皇陛下と皇后さま=2024年2月23日、皇居・宮殿「豊明殿」

■長時間の激務だから着心地の良いドレス

 なぜ、他の女性皇族と異なり、ハリのある生地ではないのか。

 皇室の事情を知る人物は、

「皇后陛下にとって着心地のよいお召し物であるためでしょう。他の宮殿行事でも、素材がやや薄く、柔らかそうなドレスをお召しです」

 そしてこの人物は、ご負担の軽減を考慮した側面もあるのではないか、とみる。
 

 公務や行事において、天皇陛下はもちろん、陛下を支える皇后も重責を担う立場だ。

 たとえば天皇誕生日の一般参賀の日、天皇陛下と雅子さまはベランダでのお手振りの前後に、三権の長や各国の駐日大使らから祝賀を受ける行事が宮殿で8回あり、宮殿・長和殿のベランダと正殿の間を一日中、分刻みで往復し続ける。

 そして移動先でも、出席者とともに長時間立ったままだ。

 さらに宮殿での祝賀行事のほかにも、仙洞御所へのあいさつ、お住まいの御所でのお祝いの行事と、スケジュールがびっしりなのだ。
 

天皇誕生日の「祝賀の儀」で、岸田文雄首相からお祝いのあいさつを受ける天皇陛下と皇后さま=2024年2月23日、皇居・宮殿「松の間」

■衣装も試行錯誤の連続

 天皇陛下は誕生日会見で、雅子さまが多くの行事に参加したことに触れて、

「いまだ回復の途上で、体調には波があり、大きな行事の後や行事が続いた場合には、疲れがしばらく残ることもあります。そのような際には、十分に休息を取ってほしいと思います」

 と話している。

 特に宮殿行事では、多くの目がある中で長時間立ったまま、ということが少なくない。先の人物も、こう話す。

「厳寒の季節や酷暑の季節でも屋外に立たなくてはならないこともあります。平成の皇后であった上皇后陛下も、当時は、どのようなデザインであれば隣にいらっしゃる陛下の姿を隠さないか、またお相手とスムーズに握手ができるかを試行錯誤されていました。皇后陛下も、儀礼に沿いながらも、お身体がすこしでも楽なものをお選びになっているのかもしれません」
 

昨年の天皇誕生日の一般参賀でも、皇后雅子さまはベルベット調の柔らかなドレスをお召しだった=2023年月2月23日、皇居・宮殿「長和殿」

 天皇誕生日の4日後、両陛下は都内の六本木ヒルズで開催中の現代アートの展覧会を鑑賞した。

 その場で両陛下を出迎えた男性は、心配げに語る。

「陛下も雅子さまも、お忙しい日程のためか、ややお疲れのご様子でした。特に雅子さまは、あまり笑顔がなかったので心配です」

 公務の現場でも、笑いの絶えないおふたり。雅子さまの笑顔は、みる人の気持ちを明るくしてくれる。休憩も大切にして、いつもの輝くような笑顔をみんなが楽しみにしている。

(AERA dot.編集部・永井貴子)