初の園遊会出席となった愛子さま。佳子さまと楽しげに談笑する様子も見られた=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

 天皇、皇后両陛下が主催する春の園遊会が23日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた。両陛下の長女愛子さまにとって、初めての園遊会。いとこである秋篠宮家の次女佳子さまが、さりげなく愛子さまをサポートし、おふたりが顔を見合わせて微笑む光景が、参加者をなごませていた。

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「なんてお可愛いのでしょう」

 愛子さまと向き合った和服の女性は、思わず声が漏れたといった様子で、そう口を開いた。

「いえ、いえ」

 愛子さまは照れたように笑い、手を振って否定のジェスチャーをする。

 あちこちで「ピンクの服がよくお似合い」といった賛辞を受けた愛子さま。恥ずかしそうにすこし下を向き、「いえ、いえ」と顔と手を振る姿が、何度も見られた。

 愛子さまにとって、この日が「園遊会デビュー」。その様子を、招待客はあたたかく見守っていた。
 

ジェスチャーを交え、にこやかに招待者と会話をする愛子さま=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

■愛子さまと佳子さまが談笑しながら歩く光景

 園遊会は、静寂に包まれた緑地が広がる赤坂御用地で、春と秋に開催される。

 この日は、花に新緑が交じりだした桜に代わり、満開になった藤や菖蒲が会場に彩りを添えていた。

 午後2時20分。三笠山と呼ばれる芝生の丘の上に、天皇、皇后両陛下と皇族方が姿を見せた。天皇家と皇嗣家はご身位の順序通り、天皇陛下と皇后雅子さまから、秋篠宮さまと紀子さま、愛子さま、佳子さま、常陸宮妃の華子さま、寛仁親王妃の信子さま、長女の彬子さま、次女の瑶子さま、高円宮妃の久子さま、長女の承子さまと続いた。

 高齢の華子さまと瑶子さまは途中で退席したものの、ゆっくりと丘から下りてきた陛下と皇族方は、陛下と雅子さまを先頭に、小道の脇に並ぶ出席者にあいさつをしたり、言葉を交わしたりしながら、歩を進める。

 紀子さまに続き、淡いさくら色のセットアップを着用した愛子さまが出席者から見えてくると、「ピンクがよくお似合い」と声が漏れた。
 

初の園遊会での緊張か、やや表情の硬い愛子さまと、後ろに続く佳子さま=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

 斜め後ろを歩く佳子さまと、談笑しながら歩く愛子さま。しかし、先頭の陛下と雅子さま、秋篠宮さまが出席者と会話をしているため、愛子さま方はしばし「待ち」の状況に。

 愛子さまがちらりと佳子さまを振り返り、何か話しかけた。佳子さまがうなずくと、愛子さまは安心したように前を向き直した。
 

■母の雅子さまも、愛子さまを何度か振り返った

 今回が「園遊会デビュー」となった愛子さまだが、実は佳子さまが初めて園遊会に参加したのは昨春、28歳のときだった。今回が2回目となる。

 それでも、公務の経験が豊富な佳子さま。落ち着いた様子で愛子さまを気遣い、サポートしているようだった。

 佳子さまは出席者と懇談しながらも、ときおり愛子さまの様子を確認するように目線を向けたり、愛子さまとお互いに「そうよね」といった風に笑顔で顔を見合わせたり。それぞれ言葉を交わしていた招待者と4人で、ふふっと笑いが起こる様子も見られた。

 紀子さまも同じように、愛子さまを交えて懇談する場面もあった。

 先頭にいる母の雅子さまも、何度か遠くから「大丈夫かしら」といった風に愛子さまに目線を送り、気にかけている様子だった。
 

大勢の出席者たちが愛子さまの成長に目を細め、心からの喜びを伝えた=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

 この春、天皇ご一家は例年のように御用邸などでご静養をすることはなく、愛子さまは大学を卒業、4月から新社会人としての生活をスタートさせた。平日は日赤で勤務し、休日は成年皇族としての公務に励んでいる。

 そうした愛子さまの懸命さが伝わっているからこそ、皇族方もさりげなくサポートし、出席者も「園遊会デビュー」をあたたかく見守ったのだろう。

 愛子さまと懇談した漫画家の里中満智子さんは、愛子さまを「花のような方」と表現した。

 22歳で迎えた「園遊会デビュー」は、大勢の人の心を明るくさせる場となった。

(AERA dot.編集部・永井貴子)