小島健/こじま・けん 1999年生まれ、大阪府出身。「Aぇ! group」メンバー。5月15日に「《A》BEGINNING」でCDデビュー。バンドではキーボードを担当。コント作りに取り組み、自他グループで脚本や演出を手がける。「FINEBOYS」レギュラーモデル。(写真・木村哲夫)

 Aぇ! groupのコントをプロデュースする小島健。日々、独特の世界観漂う「小島の名言」を生み出し、持ちギャグは「ビバ!」。その〝笑いの原点〟に迫る。小学生のときに人を笑わせる喜びを知ったコメディー番長が、メンバーと目指す、さらなる高みとは。週刊朝日2023年4月21日号より

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──高校時代のことを教えてください。

 高1高2はクラスでは成績のランキングめっちゃ低かったけど、高3で真剣に勉強するようになりました。でも徹夜したら、現実逃避で机の上の片付けしだすんですよ。だから夜1時2時とかには寝られるよう、昼間頑張って詰め込むみたいな。

 俺はバリバリの文系やったね。赤本とかもやりましたよ。自分で受験料を払ってAO(入試)もけっこう受けたんですけど、結局、公募推薦で(進学して)、2022年の3月に卒業しました。

──一番の思い出は?

 高1のころ、文化祭でクラスみんなで一緒に着るTシャツがあって、それに俺らがめっちゃ落書きしとったら、あかんかったらしくて。先生にめっちゃ怒られて、みんなはクラスTやのに、俺らだけ学校の制服のカッターシャツで回ってましたね(笑)。

 文化祭には、なにわ男子の高橋恭平とかが2、3年連続で仕事前に顔出してくれて。

 行事のときは絶対仕事休みもらって、中高の修学旅行は全部行きました。行事行かんと仕事やっとったら、今もっとすごい立ち位置におるかもしれないけど、楽しかったし、行ってよかったと思います。ほんと感謝です。

 高校生には、ほんま一日一日楽しんでほしいです。卒業せなわからんけど、学校っていいもんやなーって思いますね。戻れるなら戻りたいです。

──今、目指しているアイドル像は?

 かっこいいと面白いの、どっちも欲張りたい。Aぇ! groupで唯一レギュラーモデル[※ファッション誌「FINEBOYS」]をやらせてもらってるけど、かっこいいだけやとおもんないし、おもろいだけやとアイドルじゃなくていいし、ってなるんで。

──グループでのコントの脚本も手掛けていますが、笑いのセンスが磨かれた原点はある? 

 小学校って4人ぐらいで班になって給食食べるじゃないですか。そんときに空想の話とかをしゃべると、みんな笑ってくれるわけですよ。

 学校休みがちな物静かな子がおったんですけど、その子が笑ってご飯食べてくれて、次の日も学校来て、話聞いて笑ってくれるんです。うれしくて余計しゃべりが止まらんくなって。人に笑ってもらうってこんなに気持ちいいんやーみたいなんはそこで覚えたかもしれないです。

■笑ってくれるかいつもドキドキ

──理想の〝笑い〟は?

 くっきー!さん[野性爆弾]の独特な感じは大好きですね。若い女性にキャプテン翼のたとえを出すとか、最悪自分しかわからん、みたいな(笑)。もちろん新喜劇とかベーシックなお笑いも好きなんですけど、小島健にしかできひんものがあるならばそこを目指したいなと。でも俺、Aぇ! groupできて、笑いのスタイル変わりました。

──どう変わりました?

 昔やったら、小ボケしなかったです。大振りホームランスタイルじゃないけど、待ってましたのところで行きたい人やったんで、(ツッコミを)受けてから突拍子もないことを言うみたいな。

 でも、Aぇ! groupのみんなも、グループできる前は受け身のお笑いだったんですよ。受けてから、(草間)リチャ(ード敬太)くんやったらカタコトでしゃべる、(末澤)誠也くんやったらツッコむ、みたいな。

 グループできて1年ぐらいはずっとそうやったんですけど、やっぱ(話の流れが)止まっちゃうこともあったので、周り見て小ボケもパンパン入れるようになりましたね。だから全然ウケへんときもあるけど、それはそれでしゃあないなって。

 グループとして面白くなるようにってのは、たぶんみんな、少なくとも僕は、意識するようになりました。でも一人でバラエティー番組に出るときは受け身のスタイルも忘れたくないんで、自分なりに日々研究してますね。アイドルのなかやったら尖ってても、芸人さんのほうがもっと尖ってるから勝てないんで。

──グループでのコントの脚本を書くときに気をつけていることは?

 やっぱその場で出るものが一番おもろいし、でも全部アドリブで行ったら終わり方がわからんし、っていう塩梅がけっこうムズいです。

 だから僕は基本、こういう出来事が起きて、こういうふうに終わります、っていうのだけ書く。確定せなあかんセリフとか要所要所の笑いポイントは入れるけど、登場とかは自由だから、その日にならんとメンバーがどういうお笑い仕掛けてくるんかわからん。

──メンバーそれぞれを信頼しているからこそ?

 はい。っていうか、もうみんな任せなとこもありますから。いいやんってなったものの、本番近づいてきたら全然形にならんくて、リハ(ーサル)中にできあがった流れをそのまま本番に持っていったりとか。自分の頭ではできなかったことが、みんなのおかげでできる。

 だから、(コント作りは)まだ全然自信も余裕もないです。正直俺じゃなくていいんちゃう?って思うときもあるし、笑ってくれるかなーっていつもドキドキしてます。

Aぇ! group小島健[表紙]/週刊朝日2023年4月21日号(写真・木村哲夫)

■強くなったメンバーとの絆

──メンバー同士の絆は、どうやって強くなった?

 やっぱ、なにわ男子っていう、あんだけすごいグループが身近におったのはでかかったかもしれないですね。今はデビューしてノリにノッてますけど、関西Jr.でも輝いてたから、そこにどの方面でどうやったら勝てるのか。ライバル意識とはちがうんですけど、自分たちはどう見せたらいいのかみたいなんは考えてましたね。それで絆が徐々に強くなったのはあるかな。

 あとは、2021年の夏の(大阪)松竹座[※Summer Special 2021]を乗り切ったんがでかい気しますね。ちっちゃい子たちを率いてライブをしたんですけど、セットも曲も笑いも0から自分らで考えて、自分たちを見せつつ、ちっちゃい子たちを輝かせなあかん。何それみたいになって。でも1公演目終わったとき、スタッフさんによかったよって言ってもらって、一つ自信になったというか。なんなら、そこから僕らへのAぇ! 風がさらに強くなった、追い風みたいなものが出てきた気がします。

──今、グループとしての課題はある?

 なんやろうな。そもそも何が足りてるのかもわかってないし、ここはもう安心安全やなって思える地盤がないです。もちろん関西発やからお笑いやりますとか、爪痕残しますとかそういう意気込みはあるけど、毎回残せるかって言われたらすごい自信があるわけではない。身内だったらはしゃいだりしますけど、外に出たときにどうなんやろうって。手探り中ですね。

──デビューという目標はどう捉えている?

 デビューって、ポケモンでいう進化みたいなものかもしれないですね。進化せんくても技はいっぱい覚えていけるけど、進化したほうが威力の強い技を覚えられる、みたいな。ドームツアーとか、デビューしてからじゃないと為せないこともたくさんあると思ってます。

 でも、俺たちはいつもどおり頑張ってお客さんを楽しませる。最終的にはそこなんで。スタッフさんには、1回1回のライブを大事にしつつ、3、4年後も想像しながらやりや、みたいなことも言われてます。目の前のものにぶつかって、毎回越えて、みたいなことなのかも。

──本記事を読んでAぇ! groupに興味を持った方に伝えたいことは?

 とりあえずYouTubeの動画を2個見てほしいです。パフォーマンス系と、バラエティー系。そこから3個目行ったら、もうAぇ! groupの沼にハマってます。で、2個見てハマらんかったら……うーんなんやろうな。今じゃなかったんかなっていう感じですね。だからいったん忘れて、1週間おきになにかしらチェックしてほしい。YouTube毎週見てくれってことですね(笑)。

(構成・大谷百合絵)

※週刊朝日2023年4月21日号