2024年5月12日、ナイジェリア・ラゴスの官邸に到着時に手を繋ぐヘンリー王子とメーガンさん(photo AP/アフロ)

 ヘンリー王子(39)とメ―ガンさん(42)がそろってナイジェリアを訪問した。インヴィクタス・ゲームのプロモーションを兼ねたツアーだったが、現地での2人の言動に批判が集まり、「ロイヤルツアー“ごっこ」”と揶揄される結末となってしまった。新ビジネスで多忙を極めるメ―ガンさんの母親ぶりにも不安の声があがっている。

■「イギリスに足を踏み入れたくない」はずが…

 

 5月7日、ヘンリ―王子(39)は翌日に控えたインヴィクタス・ゲーム10周年の記念礼拝に参加するため、ロンドンのヒースロー空港に到着した。同ゲームはヘンリー王子が自ら立ち上げた負傷した軍人や退役軍人たちによる国際的なスポーツ大会で、会場はかつて父のチャールズ国王(75)とダイアナ元妃の結婚式が行われたセントポール大聖堂。ヘンリー王子は思い入れのある会場で関係者らとの再会を喜んだものの、兄のウィリアム皇太子(41)はじめ、英王室ファミリーは誰も姿を見せないという、やや寂しいイベントとなった。

 その時、メ―ガンさん(42)は何をしていたのだろうか。

 以前から「イギリスには一切足を踏み入れたくない」と言い切っていたメ―ガンさんだが、実はヒ―スロー空港には到着していた。ただ、ロンドンの街を歩くことはなく、空港内のVIPルーム「ウィンザースイート」で待機していたという。ここはウィリアム皇太子とキャサリン妃(42)が使用したこともある、世界の王侯やセレブ向けの特別室だ。記念礼拝を終えたヘンリー王子が合流し、9日夜、2人そろって英国航空のファーストクラスに搭乗して、ナイジェリアに向かったのだ。

 これは、昨年ドイツ・デュセルドルフで開催されたインヴィクタス・ゲームで、「メーガンさんは遺伝子検査の結果、46%ナイジェリア人である」と知ったナイジェリア国防省からの招待によるものという。同ゲームのプロモ―ションを兼ねての3泊4日のツアーだったが、現地での言動をめぐり、ヘンリー王子とメ―ガンさんは批判を浴びることになる。

 何があったのか。

 ヘンリー王子は王室離脱時に、軍関係の称号をエリザベス女王からすべてはく奪されている。そのため、英連邦に加盟するナイジェリアの軍関係のイベントに関わる権限を持っていない。それなのに、ヘンリー王子がナイジェリア軍を視察する場面があったことが関係者の怒りに触れてしまったのだ。

 メ―ガンさんはまず服装が問題視された。背中が大きく開いたブラレスのドレスで、引きずるほど長いスカートでインパクトを与えたが、そのブランド名は英王室の名前である「ウィンザー」。さらにイヤリングとネックレスが、ダイアナ元妃が1990年にナイジェリアを訪問した際に付けたものとそっくりだったこともあり、「自分をロイヤルに見せたいのか」と驚きが広がった。

■夫への愛を語ったメ―ガンさん

2024年5月11日、ナイジェリアのアブジャで開催された各業界の女性リーダーが集うイベントに出席したメ―ガンさん。ナイジェリア出身の世界貿易機関(WTO)のヌゴジ・オコンジョイウェアラ事務局長(左)らと会談した (photo   AP/アフロ)

 だが、そんな批判は2人の耳には届かなかったようだ。首都アブジャで、2人が2020年に設立した「アーチウェル財団」が一部支援するライトウェー・アカデミー校を揃って訪ねると、メ―ガンさんは生徒の前で堂々と夫への愛を強調したという。

 マイクを握ったメ―ガンさんは「私がなぜヘンリー王子と結婚したかわかりますか?」と問いかけ、こう続けた。「夫は賢くて、本当のことしか言わないからです。だからいつも刺激を受けます」。そんな妻の傍らに立っていたヘンリー王子について、各メディアは「イギリスでは過小評価されていると不満気だが、ナイジェリアでは自信を取り戻したようだ」と皮肉って報じている。

 その翌日、メ―ガンさんはWTO(世界貿易機関)のヌゴジ・オコンジョイウェアラ事務局長(69)と「女性のリーダーシップ」をテーマに会談する機会を持った。事務局長はナイジェリア出身。ハーバード大学卒業後、ナイジェリアの外務大臣や財務大臣を歴任、WTO初の女性・アフリカ出身の事務局長だ。多忙なスケジュールを縫って、時間を作ってくれていたわけだが、メーガンさんは約1時間会場に遅れて到着。周囲を慌てさせた。

 そんな状況で始まった会談だったが、雰囲気はとても穏やかだったという。けれど、メ―ガンさんは事務局長の優れたキャリアについて積極的に質問することはなく、代わりに自分の家族の話をたくさんしたという。アーチー王子(5)とリリベット王女(2)について「2人はおしゃべりが好きな優しい子どもたちです。12 日の母の日に一緒にいられないことが悲しい」と語り、仕事と育児の両立について聞かれると、「もちろん母親を優先させます。母親になることは私の夢でしたから。母親であることが楽しくて仕方ありません」と答えている。

■多忙なメ―ガンさんの母親業は?

「ロイヤルツアー“ごっこ”」と揶揄されたナイジェリアツアーを終えてアメリカに戻ったメ―ガンさんは、自身が立ち上げたブランド「アメリカン・リビエラ・オーチャード」のジャムのビン詰め50個をインフルエンサーなどに発送。だが、その反応は期待通りではなく苛立ちを覚えているという。

 また、デイリーエクスプレス(オンライン)は、ネットフリックスでの料理番組の制作に加え、最近は自分の回想録の出版を目指し、忙しく動いていると伝えている。この回想録は、新ブランドとの相乗効果を狙っているもので、ヘンリ―王子が23年1月に出版した暴露本「スペア」のような世界的なベストセラーになる可能性もある。

 どんどん忙しくなるメ―ガンさん。その状況で果たして、ヌゴジ・オコンジョイウェアラ事務局長に語ったように、母親業を優先できるのだろうか。 

(ジャーナリスト・多賀幹子)

*AERAオンライン限定記事