「虎に翼」での演技が話題を呼んでいる平岩紙

 連続テレビ小説「虎に翼」(NHK)で、ヒロイン佐田寅子(伊藤沙莉)の大学時代のクラスメート・大庭梅子役を演じる平岩紙(44)。弁護士の夫と3人の子どもを持つ一番年上の同級生という役どころで、落ち着いた物腰ながら、おちゃめな面もある梅子を平岩は存在感たっぷりに演じている。舞台が戦後に移り、物語からはフェードアウトしているが(6月17日時点)、先日の新キャスト発表で、梅子のしゅうとめ役として鷲尾真知子の登場が明かされると、「梅子さん再登場あるんだ!」とSNSではファンが色めき立った。

「学校におにぎりを毎日のように作ってきてくれるなど、みんなのお姉さん的存在だった梅子さんは結婚後、すぐに長男を出産したものの、夫同様に傲慢(ごうまん)な人間に育ってしまい悔いていることを第18話(4月24日放送)で明かしました。『夫と離婚するために、私は法を学んでいる』と話し、次男・三男の親権がほしいと寅子に打ち明けると、涙した視聴者も多く、SNSでも『たった15分でボロ泣きした』など感動の声が多く上がっていました。同時に『平岩紙氏に母心を語らせると説得力がハンパない』と平岩さんの演技力をほめたたえるコメントも多かったですね。司法試験当日に夫から離婚届を突き付けられ、結局試験を受けることができずに彼女の話は終わったんですが、その後どうなったのか、どんな形で再登場するのか、視聴者の間では推理合戦が始まっています」(テレビ情報誌の編集者)

きめ細かな肌の白さは女性誌でも取り上げられるほど

■芸名「紙」の由来は肌の白さ

 朝ドラで注目を集める平岩だが、同じく4月にスタートした山下智久主演のドラマ「ブルーモーメント」(フジテレビ系)でも主要キャストのひとりで山下の上司役を演じている。第7話(6月5日放送)では、土砂崩れから晴原(山下)を救おうとして身代わりとなり、翌週に彼女が亡くなったことが明かされると、SNSでは視聴者から悲しみの声が多く上がった。

「平岩さんといえば、物語の脇を固める名バイプレーヤーとして数々の作品で存在感を発揮しています。俳優になろうと思ったのは、三者面談を翌日に控えた高校3年生のときだったそう。ふと役者をやってみようかなと思い、母親に相談したところと背中を押してくれたそうです。高校卒業後は俳優を養成する専門学校へ。そこでは、周りの目を気にせずどんな役でもできるようになるため、恥をさらすという授業が多かったそうですが、それを結構楽しめたと取材で話していました。もともとは極度の恥ずかしがり屋で人前に出るのが苦手だったといい、『卒業して間を空けたら二度と芝居なんてできないと思い、恥ずかしさに慣れているうちに俳優の仕事を始めようと考えました』と意外な事実をインタビューで明かしていたこともあります」(同)

 その後、劇団「大人計画」のオーディションを受けることになった平岩。なんと、遊園地の景品でもらったヒョウのかぶりものとサングラス姿で、ホルンを吹いたというから驚きだ。これはウケ狙いではなく、自分を覆って目を隠せば審査員の視線を意識しなくて済み、緊張感が多少緩和されると思ってのことだったという(「マイナビ転職」2020年3月20日配信)。結果、見事合格したのだが、のちに劇団主宰の松尾スズキ氏は彼女の採用理由について「ちゃんと恥ずかしさを持っていたから」と話したという。

「実は平岩さんの『紙』という名前の名づけ親も松尾スズキさんです。平岩さんの肌が紙のように白かったことに由来しているそうです。平岩さんは数々のドラマや映画、舞台に出演してきましたが、お茶の間の認知度が上がったのは12年から出演したファブリーズのCMではないでしょうか。夫役の松岡修造さんと3人の息子たちとのコミカルなやりとりで妻&母親役を好演していました。ドラマ出演作品は『木更津キャッツアイ』『とと姉ちゃん』『これは経費で落ちません!』など、正直何をあげればよいかわからないほど、多くの作品で印象的な役柄を演じています。業界内では、彼女の出演する作品は“当たり”が多いともいわれています」(民放ドラマ制作スタッフ)

ミステリアスな雰囲気が魅力の平岩紙

■40代になってからは「鏡を見ない」

 一方、プライベートでは2020年にロックバンド・フジファブリックの山内総一郎と結婚。出会いのきっかけは松尾スズキが作・演出を手掛けた番組『松尾スズキアワー「恋は、アナタのおそば」』(NHK・2016年)だったという。平岩は「純粋なものと共鳴できる綺麗な方だと思っております」と山内についてコメントし、一方の山内は「世代や生まれ育った場所も近く、同じ表現者としてとても尊敬しています」とそれぞれコメントしていた。また、出産時期や性別については発表していないが、2023年6月3日、第1子出産が報じられており、平岩は1児の母でもある。

 現在、44歳の平岩だが、彼女の芸名の由来となった透き通るような美肌は女性誌でも注目されている。「美的GRAND」(2024春号)のインタビューによれば、プライベートでは眉を描く程度で、ほぼノーメイク。日焼け止めもほとんど使ってこなかったほど、美容には無頓着というから驚きだ。「肌を気にしすぎないことが私にはいいのかもしれないと気づきまして、40代になると、鏡を見る時間がグッと減りました(笑)」と同誌で本音を明かしていた。ただ、舞台でバックヌードになることもあるため、体を引き締めようと始めたキックボクシングは8年も続けているという。

■秘めた意志を感じさせる

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は平岩の魅力についてこう分析する。

「確かな演技力に支えられた存在感があり、おとなしい雰囲気の中に潜む芯の強さ、秘めた意志の輝きを感じさせる演技には目を見はります。『大人計画』出身なので芝居の基礎はもちろん、表現力も折り紙付き。個人的には清原果耶主演のドラマ『透明なゆりかご』で演じた、糖尿病を患い両目の視力を失いながらも妊娠を継続する妊婦の役が印象に残っています。また、『恋はつづくよどこまでも』『心の傷を癒すということ』など医療ドラマへの出演が目立つことから、主張しすぎないその透明感が医療の現場に似合うのかもしれません。プライベートが謎めいているところもイマジネーションをかき立てられ、興味をひかれます。年齢も含め、良い時間の重ねかたをしていると思うので、このまま俳優として息の長い活躍を続けてほしいですね」

 唯一無二の存在感を放ち、人々を魅了している平岩。梅子さんの再登場とともに、平岩の今後の出演作品にも注目したい。

(高梨歩)