藤浪晋太郎は日本国内球団なら来年もDeNA一択か 「他球団が獲得に動かない」理由は
AERA DIGITAL9/30(火)12:00

シーズン途中にDeNAに電撃入団した藤浪晋太郎。チーム事情で先発から救援に回ったが、CSに向けて不安を残している。
移籍後初の救援登板となった9月28日の広島戦。1点リードの7回から2番手でマウンドに上がったが、大荒れの投球内容だった。先頭の林晃汰に左前打を浴びると、犠打の構えをした矢野雅哉に初球の148キロ直球が引っかかり、右太もも付近への死球となる。さらに次打者のところで暴投で無死二、三塁。1死後に四球を出して満塁のピンチを招いたところで降板した。代わった坂本裕哉が中村奨成に犠飛を打たれて同点に。藤浪は1死しか奪えず、1安打2四死球1失点と役割を果たせなかった。
「DeNAは先発陣に東克樹、アンソニー・ケイ、アンドレ・ジャクソン、石田裕太郎、ドラフト1位右腕の竹田祐に加え、復調を目指すトレバー・バウアーが控えている。一方で救援陣はリーグワーストの防御率3.34と不安定です。藤浪はメジャーで救援の経験がありますし、ロングリリーフが可能なので期待は大きいですが、この投球内容を見るとちょっと……。制球が定まらず走者をためてしまうと、他のリリーバーにも負担が掛かる。僅差で勝っている場面や同点では起用しづらくなります」(スポーツ紙デスク)
藤浪は米国でプレーして3年目の今年1月、マリナーズとマイナー契約を結んだが、6月17日に自由契約になった。他球団でメジャー昇格の道を模索したが、制球難がネックとなって高評価を得られず、3年ぶりの日本球界復帰を決断した。だが、古巣の阪神からは獲得のオファーがなく、人工知能(AI)やメカニクスのデータ班のサポートで藤浪の制球力改善に自信を見せたDeNAに入団が決まった。
今季は5試合登板で1勝0敗、防御率3.43。移籍後初登板となった8月17日の中日戦では、敵将の井上一樹監督が、藤浪の右打者の内角に抜ける死球を懸念してスタメン9人すべて左打者を並べた采配が話題になった。この試合は5回5安打1失点で勝敗つかず。2試合目の登板となった同月31日の中日戦も、やはり死球リスクを考慮して細川成也など右の強打者がスタメンから外れた相手打線に対し、7回4安打無失点で移籍後初勝利を飾った。左打者が並ぶ打線相手に上々のスタートを切ったが、その後は「不安」を露呈する。
3試合目の登板となった9月7日のヤクルト戦では、中日とは一転して、右打者が6人打線に並んだ。7回途中まで4安打2失点の粘投だったが、右打者との対戦で課題を残した。2回にホセ・オスナにカットボールを左翼席に運ばれ、7回は2死から北村恵吾に左翼線二塁打を許すと、次打者の中村悠平に対して2、3球目が抜けて顔面付近へ。3球目の直後に中村が声を張り上げ、球場は騒然とした。結局、中村に四球を与えて降板した。
■右打者の対戦打率は3割6分超
他球団のスコアラーが次のように分析する。
「トータルで言えば、試合を作りましたし及第点を与えられる投球内容だったと思います。ただ、打たれた4安打はすべて右打者で、投げにくそうな印象を感じました。あと、投球スタイルが阪神時代と変わったイメージがあります。直球が150キロ前後でそこまで速さを感じず、球速より丁寧に投げている意識が見えました」
先発ローテーション定着の期待がふくらんだが、9月15日の巨人戦は厳しい結果に終わる。初回は三者凡退に抑えたが、1点リードの2回にボール球が先行し、カウントを苦しくした後に集中打を浴びた。先頭の岡本和真に中前打、岸田行倫の四球でピンチを招くと、リチャードに左翼線へ同点適時二塁打と、いずれも右打者に打ち込まれる。さらに、浦田俊輔に勝ち越しの2点右前適時打、丸にもセンターのフェンスを直撃する適時二塁打と痛打を浴び、2回4安打4失点でKOされ、この回で降板した。
興味深いデータがある。今季は左打者に対して55打数11安打、対戦打率.200と抑えているが、右打者には19打数7安打、打率.368と打ち込まれている。セ・リーグ球団の打撃コーチは「左打者と対戦する時は腕が振れているが、右打者の内角高めに抜け球を投げないように意識すると引っかけてしまい、外角に外れるボール球になっている。右打者は内角を要求されても投げ切れないので、カウントを不利にして真ん中付近に甘く入った球を痛打されるパターンが多い」と分析する。
■「ウチは獲得に動かない」
気が早いかもしれないが、来年の去就も気になる。阪神時代から取材するライターは「メジャーでもう一度登板したい思いはあるでしょう。来年は米国再挑戦を視野に入れながら、日本球界を含めて色々な選択肢が考えられます」と指摘する。
国内他球団でプレーする可能性はあるだろうか。
「制球難は一朝一夕で解消される課題ではありません。現在取り組んでいることを継続してパフォーマンスを上げることを考えれば、来年もDeNA一択じゃないですかね。藤浪の性格は伸び伸びしたチームカラーにも合っていると思います。別の球団でプレーすることは想像しづらい」(DeNAの球団OB)
セ・リーグ他球団の関係者は「ウチが獲得に動くことはないと思います」と否定的な見方を示す。
「能力が高い投手であることは間違いないですが、やっぱり気になるのは制球力ですよね。米国でプレーしている時も見ていましたが、試合中に突然崩れる時がある。先発、リリーバーで計算できる戦力かというと、疑問符が付きます。育ってきている若手にチャンスを与えることになると思います」
シーズンは残り2試合。CSを含めて藤浪はどのような形で登板機会が与えられるか。苦手としている右打者をいかに抑えるかが、大きなポイントになりそうだ。
(ライター・今川秀悟)












