「桜を見る会」前夜祭では、会費を相場の半額以下の1人5千円に設定し、多額の不足分を安倍事務所が補填した疑いが持たれているが、差額分の補填は後援者への寄付行為に当たり、公職選挙法に違反する可能性が濃厚だ。これと同様の疑いが、安倍首相の最側近・萩生田光一文部科学相にもあることが本誌の調べでわかった。



 公選法をめぐっては10月、菅原一秀・経済産業相と河井克行・法相が相次いで辞任する異例の事態に発展した。

 萩生田氏の政治団体「はぎうだ光一後援会」(東京都八王子市)では毎年参加者を募って4月にグラウンドゴルフ大会、5月にフットサル大会を開催している。両大会は毎年のように支出が収入を上回る“赤字イベント”として常態化しているのだ。

 特に収支の差額が大きいのは、グラウンドゴルフ大会のほうだ。

 グラウンドゴルフ大会の収支について、13年分の政治資金収支報告書から順に見ていくと、13年分は27万1千円の収入があった。支出は会場の戸吹スポーツ公園の利用料2万5千円、弁当代17万2500円、参加賞代10万8千円などから、後援会スタッフの経費を差し引いた金額が36万7962円で、赤字額は「9万6962円」だ。収入額を単純に500人で割ると“会費”は500円余り。スポーツを楽しんだうえ、参加賞をもらい、総菜店のお弁当に豚汁など汁物も振る舞われたようだから、参加者にとっては結構なお得感があるだろう。

 14年分は27万6500円の収入に対し、支出が39万5282円で「11万8782円」の赤字。以降、15年分は「15万8561円」、16年分は「13万6813円」、17年分は「14万8621円」などと、それぞれ赤字を出している。政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授によれば、この赤字分が参加者に対する違法な寄付になるという。

「グラウンドゴルフ大会は毎年行われているわけですから、興行的に赤字になることはわかっているはずです。そうすると、たまたま天気が悪くて参加者が少なかったなどという言い訳が通らなくなります。赤字で有権者を接待する“常習犯”であり、そうして後援会の会員をつなぎ留めていると言えます」

 具体的には、政治団体「はぎうだ光一後援会」がスポーツイベントを主催していることから、公職の候補者の氏名等を冠した団体の寄付を禁じた「公選法第199条の3」に違反する可能性が高いという。

「はぎうだ光一グラウンドゴルフ交流大会」に参加したことがある地元のまとめ役の80代の男性の証言。

「萩生田さんの後援会の役員になっている人たちから2月くらいに参加者の募集の話があり、3月中には参加者をまとめ、4月に大会という感じです。参加費は500円で、私が集めて用紙にまとめて名前を記入し、提出しています」

 グラウンドゴルフは高齢者に人気のスポーツで、本格的なゴルフとは違い、公園などで手軽に楽しむことができる。そのため、参加希望者は多いという。

「参加者は萩生田さんの選挙区の人ばかり。最初の2、3回目くらいまでは、豚汁やおにぎりなどの昼飯も出てました」(80代の男性)

 スコア上位者には賞品が出るという。

「10位くらいまでありますね。植木鉢の花やお米など、いろんなものが出てますよ。私も2位に入ってもらったことがあります。2〜3年前までは安倍晋三首相の特別賞もありました。入賞しなくても、参加賞として去年も今年も、ゴミ袋が10枚程度入ったものをもらいました」(同)

 自民党の中堅の国会議員がこう指摘する。

「地元の有権者にお金、モノを渡したり、ごちそうしたりしたら公選法違反でお縄になりますよ。これは基本のき、どの国会議員でもわかっていること」

 本誌は、萩生田氏の事務所に、グラウンドゴルフ大会などの赤字補填分が公選法に違反する疑いがあることについて見解を求めた。

 萩生田氏の事務所は、文書で次のように回答した。

<政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告している。ご質問の行事は当該政治団体の目的でもある懇親行事であり、参加者から相応の参加費を徴収し実施しているところであり、ご指摘は当たらない>

 食事や景品を振る舞われたとされる参加者は本誌の取材に対し、「追加費の請求はなかった」と答えている。10日発売の週刊朝日12月20日号では萩生田文科相のさらなる疑惑の詳細を報じている。(本誌・上田耕司、亀井洋志)

※週刊朝日  2019年12月20日号より抜粋