政府は17日、沖縄を除く9都道府県で緊急事態宣言を20日の期限で解除することを表明した。東京、大阪など7都道府県は7月11日までまん延防止等重点措置に移行する。宣言と重点措置の地域では飲食店の酒類提供は感染防止対策など一定の要件を満たした場合に午後7時まで容認するという。



 国民は自粛を強いられている。感染防止のため行動が規制されるのは仕方がない反面、政府の方針には不信感が高まっている。感染封じ込めを呼び掛けているにもかかわらず、政府は東京五輪開催のスタンスを貫き、国民に向けて説明責任を果たしているとは思えない。

 菅義偉首相は7日の参院決算委員会で東京五輪の中止、延期を考えているかという質問に対し、「私自身は主催者ではない。私自身は我が国の国民の安心、安全を守る。そうした使命があると考えている」と答弁。しかし、6日後の13日に英国で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)で一連の討議を終えて記者団に対応した際は、「感染対策の徹底と安全安心の大会について、私から説明をさせていただき、全首脳から大変力強い支持をいただいた。私自身、改めて主催国の総理大臣として、こうした支持を心強く思うとともに、東京大会を何としても成功させなければならないという思いで、しっかりと開会し、成功させなければならないという決意を新たにした」と強調した。「主催者でない」と突っぱねる一方で、外交の場では各国から五輪開催支持を得られた功績を強調する。矛盾した発言に、国民の怒りはさらに増幅している。

 今回の緊急事態宣言の解除も、「東京五輪を見据えた判断」という見方が多い。SNS、ネット上では、「オリンピック優先で、国民生活はほぼ無視。緊急事態宣言継続だろうが解除だろうが、中身は変わらず庶民の生活は厳しい。ワクチンに期待を寄せているようだけど、非正規労働者みたいな生活弱者は、ワクチン接種による弊害で収入源になる可能性があるものには手を出さない。結局弱いものは弱いまま。今の政府には何も期待出来ない」、「東京で新規500人超えた翌日に緊急事態宣言解除、というのもどうかな。政府はもう五輪開催以外、目が見えなくなっていると思う。政府の優秀な人も含めて完全に狂った間違った方向に突き進んでいる。五輪をやらない未来なら、コロナ収束も早くなり、命が助かる人が必ずいるはずなのに」など不満の声が。

 飲食店、卸売業者が苦境に立たされている状況は変わらない。緊急事態宣言が20日に解除されても、まん延防止等重点措置により酒類の提供は午後7時までしか認められない。都内で飲食店を営む40代の男性は「緊急事態宣言の時とたいして変わらないですよ。午後7時までしか酒類を提供できないなら、仕事終わりの人たちも1時間足らずで引き上げるので、売り上げも上がらない。そもそも感染対策で酒類提供が午後7時までという根拠も理解できない。夜中まで酒を出すようになった店も最近増えている。飲食業も政府に我慢の限界を迎えている。今後も深夜営業の飲食店は増えると思います」と漏らす。

 医療関係者の30代男性も緊急事態宣言が解除され、東京五輪が開催されることを危惧する。

「五輪を開催することで自粛ムードが薄らぐ可能性があります。海外から多くの人が来るので変異型ウイルスが流入することも想定しなければいけない。まだワクチンの接種率も低いままなので感染爆発する恐れがあります。政府は本気でコロナを封じ込める覚悟があるのか全く伝わってこない」

 何が正解かは分からない。だが、国民に真摯に向き合うのが政治家の義務だろう。(牧忠則)