大黒柱だった東京都の小池百合子都知事(68)が過労で入院し、6月25日告示の東京都議会選挙を目前に控え、窮地に立たされている都民ファーストの会。都議選の情勢調査などでは「大惨敗」と厳しい予想が出ている。



 都ファ代表の荒木千陽都議は6月23日、緑のジャケット、インナー、マスクと緑一色を身にまとって都内で街頭演説に立っていた。

 荒木代表は小池氏が衆院議員だった頃、公設秘書を6年務めた。小池氏が都知事に転身後、都議会選挙に出馬し、代表の座に就いた。小池氏が最も信頼を置く側近だ。荒木代表に小池氏の入院について直撃した。

「都民ファの応援より、本人の体が大丈夫なのか、と心配しています。私は3〜4日前、小池さんに会ったんですが、『夜中に(内閣官房から)通知が来るので全然、寝れない。通知が来てから動くからそもそも寝られないのよ』と言ってました。職員もみんな寝てなくて、すごくお疲れの様子でした」

 政府が「緊急事態宣言」を解除し、「まん延防止等重点措置」に移行させた際、各自治体に内閣官房が「通知」を出したのは、夜中だったというのだ。

 徹夜も辞さず、休みの日もテレワークをして、オーバーワーク気味だった小池氏。今月22日に行われたワクチン関係の会合の後、息切れやふらつきの症状があり病院で受診した。「過労」と診断され、検査入院することになった。小池氏はこれまで何度か腹部の手術をしたことがある。

「以前、大臣をしていた時に倒れていますし、無理をさせないでください」(荒木代表)

 ただ、都議選の告示は明日に迫る。緊急入院がその3日前というタイミングだったために、さまざまな憶測を呼んでいる。

「小池氏の入院で都民ファへの応援なしは規定路線」(政府関係者)という声もある。自民党関係者が言う。

「小池さんは自民との関係を修復し、昨夏の都知事選では自民の支援を受けた。菅義偉首相とは不仲だが、自民党の二階俊博幹事長とは良好な関係です。東京五輪・パラリンピックを成功させたら、小池さんは都知事を辞め、次期衆院選に出馬する可能性も捨てきれない。女性初の首相の椅子を狙うことをまだあきらめていない」

 都民ファを応援し、自民党と敵対するより、入院して隔離されていたほうが好都合というのだ。

「元気で活動していると、マスコミから都ファを応援しないんですかという質問が飛ぶ。小池さんはそれに対して明確に答えていない。都民ファの応援に行くのなら、自民、公明の応援にも行くのではという噂もあるくらい。都議選後、自民党が大勝した時の議会運営の対策も考えています」(同)

 江東区選出の都ファの白戸太朗都議はこう語った。

「小池さんは倒れちゃいました。調子が悪ければ応援に来れなくても、やむを得ない。国は首相を支える官僚がいっぱいいるけれど、小池さんは都政をほとんど一人でやっています。あれだけの激務は、普通はこなせないと思います。小池さんが5人くらいいるんじゃないかってくらい」

 4年前は「小池旋風」で都民ファが127議席中、55議席(現有議席は46議席)を獲得して圧勝し、都議会第一党となった。だが、AERAdot.編集部が独自入手した自民党の情勢調査によると、都民ファの獲得議席数は16〜19議席と厳しい予測となっている。

「都民ファは医師、弁護士、公認会計士出身者が多く、 専門家集団だが職業政治家でない。 受動喫煙対策条例を作るなど国政を脅かしたが、アピール力に欠け票に結びつかず苦戦している」(前出の政府関係者)

 冒頭の荒木代表が戦う中野区では定数3をめぐって、都ファ、自民新人、公明現職に加え、出馬を見送った共産の支援を受ける立憲現職などの候補がしのぎを削る。

「ここは大激戦区です。頑張ります」(荒木代表)

 都民ファの白戸都議もこう言う。

「選挙前にはいろんな予測が出るけど、人のことを気にするよりも、自分がコツコツやるしかない。自分なりにしてきたことをちゃんと伝えていくことだと思っています」

 都議選の投開票は7月4日。12日間行われる衆院選、17日間の参院選と違い、たった9日間の短期決戦となる。小池氏不在で都民ファは戦えるのか。結果に注目したい。

(AERAdot.編集部 上田耕司)