自民党総裁選は4候補者が熾烈な論戦を展開。ただ、新総理・総裁が誕生するとはいえ、山積する問題が消えるわけではない。総選挙を控え、人びとは冷静に見ている。AERA 2021年10月4日号は「次の首相は誰だ」特集。

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 9月17日に告示された自民党総裁選挙。第100代首相という歴史的節目の総理の椅子をかけた自民党内の権力闘争は、投開票日に向けて多数派工作の応酬が続いている。

 トップを走るのは河野太郎行政改革相、岸田文雄前政調会長の2人。それに続いて高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行は後塵を拝す格好だ。

 今回の総裁選は9月3日の菅義偉首相の突然の退陣表明から始まった。政府の新型コロナウイルス対応への国民の不満がその背景にある。このコロナ禍の2年を振り返ると、早期の検査拡大、空港など水際対策の徹底、自粛と補償の実現などで、国家の危機管理の危うさが露呈。まさに「全てが後手」だった。

 総裁選挙に臨む4人は、いずれも自民党の重鎮だ。総裁選で、新たなリーダーに顔をすげ替えたからといって、コロナ対策の遅れに対する責任が不問に付されるわけでは決してない。

 また、公文書改ざんや廃棄、複数の政治家とカネをめぐる不祥事などで国民への説明責任を先送りにするなど課題は山積だ。

 今回の総裁選は岸田派以外の党内派閥が、事実上の自主投票で臨む過去に例のない事態だ。昭和、平成の自民党を仕切ってきた古い政治家たちが、今も派閥の長として君臨する。自民党総裁は総理・総裁という時の最高権力者だけに、こうした古い「派閥政治」を断ち切ることができるか。開かれた、世代交代の機運はあるのだろうか。

 連日、メディアをジャックして見せつけられる「権力闘争」。支持率が低下したから、総理・総裁の首をすげ替えて解散総選挙に臨むという下心も見え隠れする。だとすれば、むしろ、各候補者が「何を語らないか」に注目すべきではないか。投開票は29日。この国の新しいリーダーは一体誰になるのか。(編集部・中原一歩)

※AERA 2021年10月4日号