12月10日、冬のボーナス115万5832円が、辞職した木下富美子元都議に支給される。木下氏は自身のホームページで11月分の報酬と期末手当は「全額寄付する」と明らかにしたが、支給を阻止しようと都議らが動き始めた。

 地域政党「自由を守る会」代表の上田令子都議らは1日、東京都庁で記者会見し、「木下元都議の給与・ボーナス支給差し止め住民監査請求」を1日付けで東京都監査事務局に提出し、受理されたことを明らかにした。

 木下氏の冬のボーナスの扱いは一体どうなっているのか。東京都議会局に聞いた。

「都議の期末手当に関する条例には、12月1日の基準日の1カ月前の退職についても同様とするという規定がありまして、木下元都議は11月22日に退職ですので支給の用件に当てはまります。在職期間が6カ月だと満額ですが、木下元都議は3カ月以上6カ月未満という規定に当てはまり、支給はされますが6割支給ということになります。支給日は12月10日になります」

 都議の期末手当はこれまで満額で約204万円とされたが、11月30日の本会議で職員の給与条例の改正があり、議員の期末手当は支給が減った。一般の都議については、満額で192万6470円が支給されることになった。

 つまり、木下元都議の場合、この6割に当たる約115万円が支給されることになる。これに異を唱えた上田都議はこう話す。

「冬のボーナスはまだ支給されていないので、木下元都議の分は差し止めをして払うなということです。もし仮に、支払うのであればそれは都にとって損害になるので、小池百合子都知事には木下氏に返還を求めていただきたい」

 監査請求を求めたのは今年7月から10月までの木下都議の議員報酬4カ月分327万400円、冬のボーナス115万5882円など。

 木下氏は都議選の選挙期間中の7月2日、東京都板橋区高島平3丁目の交差点で、免許停止中にもかかわらず、無免許で運転し、衝突事故を起こして逃走した。東京地検は11月19日、5月から7月にかけて計7回、無免許運転を繰り返したとして、道路交通法違反の罪で木下氏を在宅起訴した。

 前述の12月1日の都庁での記者会見には上田都議以外に、上田都議が代表を務める地域政党「自由を守る会」幹事長の渡辺大三・小金井市議、さんのへあや江東区議、木下氏に対する板橋区民の怒りの請願署名5000人以上を集めた「日本の民主主義と公平な選挙を守る会」事務局の中村公一氏が出席した。

「記者会見をするということはおととい(11月29日)、報道機関に知らせましたが、そうしたら翌日(30日)になって、木下氏は慌てたように、自身のホームページを更新し、報酬を寄付することを明かにしたんです。でも、寄付するから、それでいいというわけではありません」(上田都議)

 木下氏が更新したホームページには、11月30日付けでこう書かれていた。

「議長室への訪問、委員会出席のために準備・登庁いたしました11月につきましても、報酬は寄付し、政務活動費の請求はいたしません……期末手当(ボーナス)につきましても、全額、寄付する等のしかるべき対応をし、ご報告いたしたいと思っております」

 木下氏は11月9日、7月の再選後、4カ月ぶりに登庁し、記者団の取材に対し、休んでいた間に支給された3カ月分の議員報酬約190万円は「公職選挙法上、返納もできないので、すでに寄付した」などと発言。ホームページ上でも「NPO法人などの団体に寄付」したと公表していた。

 だが、前出の渡辺市議は「勝手に団体に寄付するということ自体がおかしい」と批判する。

「東京都以外のどこかの団体に寄付されたとしても、東京都の財政から支出することになる。東京都に戻らない限りは損害です。寄付先も公表しないから、木下氏と全く関係のない第三者のNPO法人なのかどうかもわからない。もう都議をお辞めになったんですから、公選法も関係ない。そもそもボーナスを受け取らず、本人が『ボーナスはいらない』と受給権を放棄すればいいだけです。それをしようとしないから、私たちは差し止め請求を起こしたのです」(同)

 

 今回の監査請求の結果は60日以内に出るという。それではボーナスが支給された後になるので、後の祭りではないのか。

「おそらく、監査の結果が出ないうちは、都は払うんでしょうね。払ってしまった後は監査の結果次第で返還を求めるならば、小池都知事がそれを尊重することになるのだと思います」(同)

 上田都議はこう主張する。

「都民のために働いてくれ、ということで木下氏は都議に選ばれ、そのために血税も使われた。無免許で事故を起こした時点で出馬を辞退すべきだった。それなのに、勝手に寄付したからおしまいなんて、誰も望んでない。あなたは勝手に寄付しただけですから、返してくださいということです。小池知事も監査請求をしっかり受け止めて欲しい」

 どんな監査結果が出るのか。無免許運転の後始末はまだ終っていない。

(AERAdot.編集部 上田耕司)