国民の世論が真っ二つに割れたまま、安倍晋三元首相の国葬が終わった。当日の「分断の現場」を取材した。AERA 2022年10月10−17日合併号の記事を紹介する。

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 午後2時。東京メトロ半蔵門駅、JR四ツ谷駅などから、一般献花台のある九段坂公園まで、長蛇の列が出来ていた。

 横浜市の中小企業診断士の男性(70)は、駅から2時間半並んで献花した。

「これだけの人に支持された人なんだと改めて思いました。若い人が結構いて、日本はまだ捨てたもんじゃないと思いました。安倍さんは日本のいい文化を残そうとした人だと思う。いろいろあったけど、立派なリーダーだった」

 並ぶ人は中高年が目立ったが、若者の姿も。都内のアニメーターの女性(35)は言う。

「どうして国葬なのか、納得できずにいたのですが、疑問がより深まりました。安倍さんは様々なことを強行したのに、どうしてこれだけの人たちに支持されているのだろうって」。女性は献花しなかった。

 福岡市から夫妻で来た、メーカー営業の男性(40)は「感謝の気持ちでした。悲しい気持ちもわいてきました。もう1期は国会議員を続けてほしかった」。

(編集部・井上有紀子)

※AERA 2022年10月10−17日合併号