甲子園屈指の好投手、星稜・奥川の欠点は「左ひざ」 東尾修が指摘

甲子園屈指の好投手、星稜・奥川の欠点は「左ひざ」 東尾修が指摘

 第101回全国高校野球が始まった。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、星稜(石川)の奥川恭伸投手に注目する。



*  *  *
 久々にアジアの野球といったものを体感した。西武ライオンズが2016年から開催している台湾プロ野球「統一ライオンズ」とのコラボイベントに参加した。8月3日に台湾・台南で行われた統一−中信兄弟戦の始球式を務め、試合を観戦した。

 率直に言うと、野手はミート力があり、日本の野球レベルにだいぶ近づいているが、投手力はまだ差があると感じた。かつて西武で同僚だった郭泰源にも聞いたが、どう育成システムを構築していくかが課題だという。ただ、着実にレベルアップはしているよ。貴重な体験ができた。

 近年の台湾の若い世代の活躍は目を見張るものがある。同時期に行われていたU12ワールドカップでは、日本は決勝で台湾に0−4で敗れた。日本は高校野球、そして甲子園という文化が根付いているが、やはり野球の普及、野球選手の育成ということは、常に考えないといけない。

 夏の甲子園も始まった。今大会でナンバー1投手と言われているのが星稜(石川)の奥川恭伸だろう。1回戦の旭川大(北北海道)戦をテレビで見たが、まず骨格がしっかりしているなという印象だ。体の完成は人それぞれ。松坂大輔(現中日)や田中将大(現ヤンキース)は高校3年生の時点で、骨格が完成され、頑強さがあった。同じように奥川も馬力という点では、高い水準にある。逆に佐々木朗希(大船渡)、高校時代のダルビッシュ有(現カブス)は、骨格を含めてまだ成長途上という感じだ。その点だけで見ると、プロに入った場合にすぐに1軍に出てくるのはどちらかというならば、佐々木より奥川だろう。ドラフト1位指名も2人で迷う球団が多く出るだろうな。

 奥川は投球術もしっかりしている。初回は全力に近い形で150キロを出し、先制点を奪ってから制球重視の投球に切り替えた。変化球で腕が緩むこともない。変化球もスライダー、チェンジアップにフォークボールがあり、試合の流れを見てギアチェンジできる点も完成度の高さを物語る。

 プロで1年目から活躍できる完成度はあるが、松坂、田中のように球界を背負える投手になるために、という観点で1点だけ指摘しておきたい。これは大会中に直すというよりも、もっと上のステージ=プロで戦うための話という前提で話をさせていただく。「左ひざ」だ。右足一本で立ち、体重移動していく時に腰高で、左足に乗り切れていない。少し三塁方向に体が流れるため、スライダーは抜け、直球を右打者の外角低めにひっかく球があった。大会後でいいから左ひざを柔らかく使って、左足に乗って投げる「意識」を持つだけで、もっと良くなる。

 決して「修正」と思わないこと。直そうという意識が強すぎると、今でも及第点といえるバランスが崩れる可能性があるからだ。この大会はおそらく失点しないこと、勝つための投球を行うだろうね。だから大会に入ってから、修正できることは普段やっていることだけでいい。終わってから、プロに入るのであれば、その期間で意識を持って取り組めばいいことだ。

 試合ではセットポジションでいいが、練習のうちは、ワインドアップかノーワインドアップでもっと大きく体を使って、上半身と下半身のバランスを探ることも大事。「完成」するのはもっともっと先でいい。

※週刊朝日  2019年8月30日号


関連記事

おすすめ情報

AERA dot.の他の記事もみる

あわせて読む

主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索