帝京に負けた早明 大学別「ラグビー日本代表輩出数」ランキング

帝京に負けた早明 大学別「ラグビー日本代表輩出数」ランキング

 第9回ラグビーワールドカップ日本大会が始まった。

 日本代表は前回大会(2015年第8回大会)で南アフリカを相手に大金星をあげるなど、3勝1敗という好成績を残した。今大会ではベスト8という目標を掲げており、代表に選ばれた精鋭31人に期待が集まっている。彼らはどんなラグビー人生を送ってきたのだろうか。2019年日本代表、そして、歴代のワールドカップ日本代表(1987年第1回大会〜2019年第9回大会)の出身大学ランキングを調べてみた。



 まず、2019年日本代表を見てみよう。

 他大学を圧倒しているのが、帝京大だ。坂手淳史、堀江翔太、ツイヘンドリック、姫野和樹、流大(ながれ・ゆたか)、松田力也、中村亮土の7人。同大学はラグビー大学選手権大会で、2009年度から2017年度まで9年連続日本一を果たした。このうち坂手、姫野、流、松田、中村の5人は9連覇中に4年間在学しており、大学では「優勝経験」しかない。大学日本一を経験していないのは堀江のみ。

 なお、前回大会で南アフリカに歴史的勝利をおさめた際の先発メンバーには、堀江とツイヘンドリックが名を連ねている。同大会で日本代表の帝京大出身はこの2人だけだった。なお、今月6日に行われたワールドカップ前哨戦ともいうべき南アフリカ戦では、堀江に代わって帝京大後輩の坂手が入っている。

 2番目に多いのが東海大の3人。日本代表キャプテン、リーチマイケルの出身校だ。2000年代に入ってから大学選手権で何度か優勝を狙えるところにいた。いまだに叶っていない。

 3番目は拓殖大の2人。大学日本一になったことはないが、外国人選手を中心に身体能力が高い選手が集まっている。

 ほかの出身校は1人ずつ。ラグビーの伝統校、早稲田大、明治大が1人。慶應義塾大、同志社大がゼロというのはさびしい。前回大会で早稲田大は五郎丸歩、藤田慶和、畠山健介の3人、慶應義塾大は廣瀬俊朗、山田章仁の2人を擁した。このうち五郎丸、藤田、山田はトライをあげている。同志社大は前回大会に引き続き代表を出していない。後述するようにこれまでのワールドカップでもっとも多くの日本代表を送り出した伝統校ゆえ、とても残念だ。

 今回、日本代表に現役の学生が1人も選ばれなかったのもさびしい。前回大会では早稲田大の藤田、筑波大の福岡堅樹が活躍した。福岡は今回も引き続き出場しており、俊足を飛ばしてのトライゲッターとして期待されている。

 歴代のワールドカップ日本代表はどうだろうか。なかなか興味深いランキングであり、大学ラグビーの歴史、日本のラグビー史を垣間見ることができる。上位10校の特徴、輩出選手を見てみよう(カッコ内がワールドカップ代表選手に選ばれた年)。

 1位同志社大。第1回大会(1987年)は8人、第2回大会(1991年)では6人も名を連ねている。平尾誠二(1987、91、95年)、大八木淳史(1987、91年)、林敏之(1987、91年)、萩本光威(1987年)などだ。同志社大が1982〜84年度、大学選手権3連覇を果たしたころの主力メンバーが中心となっており、いまの帝京大に似ている。当時、彼らの多くが神戸製鋼に勤めていた。萩本は2004年に日本代表監督になっている。彼ら大学日本一世代が引退した2000年代以降、代表に選ばれる選手は少なくなった。大学選手権優勝4回。

 2位早稲田大。第3回大会(1995年)で今泉清(1995年)、堀越正巳(1991、95年)、増保輝則(1991、95、99年)といったスター選手が選ばれた。今泉、堀越は大学日本一の経験がある。増保が日本代表に選ばれたのは19歳3カ月のときで、当時の最年少だった。明治大とともに、第1回から今大会までの9回すべてで代表を送り出しており、ラグビー伝統校のプライドを守り続けている。なお、8回は関東学院大と東海大。7回は法政大と大東文化大となっている。大学選手権優勝15回は最多。

 3位明治大でもっとも活躍したのが元木由記雄だ。学生時代から日本代表として活躍し、ワールドカップ日本代表に4回(1991、95、99、2003年)も選ばれている。1980〜90年代、早明ラグビー人気を支えたのが元木と吉田義人(1991年、95年)、早稲田の今泉、堀越らだった。国立競技場に5万人以上の観客を集めた。2019年大会のスタンドオフ、田村優は前回に引き続いての出場となる。斉藤祐也(2003年)はオリンピック水泳金メダリスト、岩崎恭子と夫婦だったことがあり、TBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演していた。大学選手権優勝13回。

 4位法政大。第1回ラグビー大学選手権大会(1964年度)の優勝校である。桜庭吉彦(1987、95、99年)、伊藤剛臣(1999、2003年)、遠藤幸佑(2007、11年)、日和佐篤(2011、15年)など、ワールドカップ連続出場を果たした名選手が揃う。大学選手権優勝3回。

 5位京都産業大。大学選手権の優勝経験がないにもかかわらず、個性的な選手が輩出した。3大会連続出場の田中史朗(2011、15、19年)のほか、大畑大介(1999、2003年)は快足を飛ばしたトライゲッターであり、引退後、ラグビー解説ではすっかりおなじみとなった。

 6位関東学院大は、1990年代半ばから2000年代半ばにかけて早稲田大、明治大の伝統校を蹴散らして大学日本一に6回なっている。松田努は明治大の元木とまったく同じ時期にワールドカップ日本代表に4回(1991、95、99、2003年)選ばれた。2007年、部員が大麻所持で逮捕されたことで対外試合ができなくなり、それ以降、チームにかつての勢いが失われ、大学選手権上位進出が難しくなった。復活を望む。

 7位帝京大。現在の強豪はようやくこの位置に出てくる。2009〜17年度の大学選手権9連覇により、ワールドカップ代表クラスの選手が育成されたと言っていい。大学体育会の先輩後輩の不条理な序列、たとえば、「4年神様、3年貴族、2年平民、1年奴隷」と呼ばれる封建的な悪しき体質を排除したことでも知られる。高校生の優秀な選手は、早明よりも帝京大を選ぶようになった。岩出雅之監督は、青山学院大陸上競技部(長距離ブロック)の原晋監督と並び、高く評価されている。大学選手権優勝9回。

 8位大東文化大。国立競技場で響きわたる「ダイトー」という声援はラグビー新興大学を勇気づけた。大学選手権では1980年代半ばから1990年代半ばにかけて早明を破るなど優勝3回を数える。その中心を担ったのが、トンガ出身のシナリ・ラトゥ(1987、91、95年)だった。茂野海人(2019年)は、大東文化大出身者として3大会ぶりに選ばれた。

 9位東海大は大学選手権で優勝経験がない。2009、15、16 年度に準優勝。09年度は決勝で帝京大とぶつかり、13対14の1点差で負けてしまう。帝京大は初優勝を果たし、ここから9連覇が始まった。毎年正月になると、大学関係者は、箱根駅伝かラグビーのどちらが早く優勝するか、気が気でなかった。2019年、箱根駅伝で優勝し、一足早く王者に輝いた。

 10位日本体育大は大学選手権優勝2回を数える(1969、78年度)。朽木英次(1987、91年)はセンターのポジションで、同年代の同志社大出身の平尾と組むことが多かった。OBには日本代表の山口良治(伏見工業高ラグビー部総監督、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデル)、岩出雅之(帝京大ラグビー部監督)がいる。

 オリンピック、ワールドカップ、世界選手権など国際大会の日本代表には、競技ごとの強豪校(大学、高校)の出身者が活躍する傾向が見られる。なかでもラグビーは顕著だ。ラグビー大学選手権優勝校の出身者が日本代表に数多く選ばれている。サッカー、野球はそれほどでもない(そもそもサッカーに大卒プレーヤーは多くない)。ラグビーは大学との親和性が極めて高い。一方で、選手育成を大学ラグビー部に任せていいのか、という議論もある。サッカーのようにクラブチームで育てるべきだという考え方だ。

 ラグビーワールドカップが始まった。個々の選手に注目してみよう。学生時代にスター選手だった者がいる。ラグビートップリーグで花開いた者がいる。ラグビーでは無名だった大学の出身者もいる。彼らがどんな活躍をしてくれるか、出身大学から見るのもおもしろい。

(文=教育ジャーナリスト・小林哲夫/選手名は敬称略)


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