31歳、悲願のラグビーW杯初出場 山中亮平が見せた「3度目の正直」

31歳、悲願のラグビーW杯初出場 山中亮平が見せた「3度目の正直」

 9月20日、いよいよ日本初、アジア初となるラグビーワールドカップ(以下W杯)2019日本大会が始まった。東京スタジアムでの開幕戦を飾ったのは、世界ランキング10位の日本と、同20位のロシアというカード。


 
 しかし、先制点を取ったのはロシアだった。前半開始からわずか4分、高く蹴り上げられたボールを日本のフルバック、ウィリアム・トゥポウが取り損ねたのを攫うようにして、ロシアのウィングがトライへと持ち込んだ。赤と白の日本ジャージカラーに染まった観客席全体から、大きな悲鳴が上がる。

 体の大きいフォワードによる猛攻が続き、なかなか日本らしいプレーをさせてもらえない。前半11分、ウィング松島幸太朗がサイドでボールをもらって1トライを返すも、続くコンバージョンキックをスタンドオフ田村優が外し、ロシアに2点差でリードされる時間がしばらく続いた。

 だが、日本は徐々に本来の調子を取り戻す。松島が2トライ目をあげて12−7で前半を折り返スト、後半6分にはロックのピーター・ラブスカフニが抜け出して素晴らしいランを見せてトライへ。そして28分には、松島が3トライ目を決めてハットトリックを達成し、田村と交替で入ったスタンドオフ松田力也がコンバージョンキックを決めて30−10に持ち込むことに成功した。

 残り時間が少なくなり、再び猛攻を始めたロシアを押さえたのが、後半30分にグラウンドに入ったフルバックの山中亮平だ。

 ロシアの名スタンドオフ、ユーリ・クシナリョフが再三キックでエリアを稼ごうとするも、山中は自陣深くに飛び込んできたボールを確実にキャッチし、鋭いキックで押し返した。かつてスタンドオフとしてプレーしていたユーティリティプレーヤー(複数のポジションを務められる選手)ならではの、見事なキックだった。

 さらには、自らボールを持って突進し、エリアを大きく稼いだ。本領発揮。そんな言葉がふさわしいプレーだった。

 31歳の山中は、今回が初のW杯出場。そう聞くと遅咲きに感じられるかもしれないが、実は早期から注目された華麗な経歴の持ち主だった。中学2年でラグビーを始めるや才能を発揮。東海大仰星高校時代は攻撃的なスタンドオフとして名を馳せ、花園で優勝。進学先の早稲田でも大学選手権で優勝し、在学中の日本代表入りを果たしている。

 ところが20代前半、口ひげを伸ばすために使用した育毛剤が原因でドーピング検査で陽性反応が出て、思いがけず2年間の資格停止を受け、2011年のW杯出場のチャンスを逃した。復帰後も厳しい状況が続き、2015年のW杯では、日本代表合宿に招集されながらも、最終メンバーに残ることができなかった。不退転の覚悟で臨んだ今回、ようやく手に入れたW杯出場の切符だったのだ。

 先述した通り、山中はフルバックでありながら、スタンドオフの経験から生まれるキックやゲームコントロールにも定評がある。188センチとバックスとしては長身なうえ、下半身をしっかり鍛えているため守備にも優れる万能型だ。

「ハイボールキャッチやキックといったフルバックの役割をしっかりやることをもちろん大切にしていますが、僕はボールを持って走るのが好きだし、得意ですね」

 この言葉通りの活躍をロシア戦で見せた山中は、『ラグビー日本代表写真ガイド RUGBY PHOTOBOOK & GUIDE 2019 JAPAN』のインタビューで、ラグビーを続ける理由と魅力について、次のように明かしていた。

「チームのために一人ひとりが体を張って、ひとつのボールを繋いでいくこと。人のために体を張ることなんて、なかなかないじゃないですか。それが、ラグビーっていいスポーツだな、楽しいなって感じる理由です」

 さらに山中は、「泥臭いプレー」こそが、日本の強みだとも語っている。

「低い低いタックル、あきらめずに動き続けるハードワーク、チーム力の高さ。ラグビーは日本人向きのスポーツだと思います(笑)」

 順調にキャリアを進めていたら、この言葉が山中の口から出ることはなかったのではないか。長く苦しい時間が、現在の山中のプレーを作り出したとも言えそうだ。

「目の前の1試合1試合が大事」

“3度目の正直”でようやく立ったW杯のグラウンドで、自分らしい、そして、日本人らしいプレーを見せた山中。次の出場試合でのさらなる活躍が楽しみだ。

 山中亮平選手のインタビュー全文のほか、姫野和樹選手、田中史朗選手、堀江翔太選手、リーチ・マイケル主将ら、多数の日本代表選手のインタビューや、世界のトライ王・大畑大介さんによるラグビー日本代表の戦力分析や観戦ガイドは『ラグビー日本代表写真ガイド RUGBY PHOTOBOOK & GUIDE JAPAN 2019』で読むことができる。

○山中亮平(やまなか・りょうへい) 1988年、大阪生まれ。188センチ、95キロ。ポジションはフルバック。スタンドオフ、センターでもプレーできるユーティリティプレーヤー。神戸製鋼コベルコスティーラーズ所属。


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