プロ野球の日本シリーズが開幕した。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、戦力差のある巨人が勝つ方法を考える。



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 日本シリーズはソフトバンクと巨人との対戦となった。このコラムを書いている時点では、まだ開幕はしていない。願わくば、巨人が京セラドーム大阪でスタートする第1、2戦で、2勝するか、最低でも1勝1敗で入ってもらいたい。

 チームとしての総合力では、どうしてもソフトバンクのほうが上である。巨人がシリーズを制覇するには、互角と思える局面で、勝つしかない。例えば、初戦先発が予想される菅野智之。どんな相手だろうと、勝たなくてはならない。試合ごとの細かい局面でも、好機で迎えた打者を、バッティングカウントでしっかりと仕留められるかどうか。そういった積み重ねの数々がソフトバンクを倒すカギとなってくる。

 私がソフトバンクと対するのであれば、1番に入ると予想される周東佑京を必ず止めることを考える。出塁を許すと、ほぼ盗塁してくる。巨人バッテリーが、周東の盗塁をシリーズ通じて完全に止めることはできないだろう。出塁を許せば、ほぼ得点圏に走者を置くことになる。中軸の柳田、グラシアルを徹底的に抑えることに集中できるかどうかは、周東の出塁をどれだけ防げるかにかかっている。

 ソフトバンクは東浜がコンディション不良で登板できないという。ただ、石川、和田、ムーアなどしっかりと駒はそろっている。1、2試合落としても、経験、実績、そして試合の中での勝負ポイントを各自がわかっている。シリーズを通じて受け身に回らなければ、巨人に一気に押し込まれることはないだろう。

 CSのような一つの球場で、連戦で行う時は早い時点で流れをつかむことが大切になるが、日本シリーズは球場を行き来するし、移動日が存在する。CSよりも流れが二転、三転する可能性はある。

 昔から「初戦重視」「第2戦重視」などいろいろと言われるが、そんなセオリーなど存在しない。どうやって3敗する間に4勝するか。

 相手と自チームの戦力を分析した上で、劣っている部分を何で埋め、逆に勝っている部分をどうやって最大化するか。それしかない。

 2013年に楽天が日本一となってから、昨年まで7年連続でパ・リーグが日本一となっている。今年もソフトバンクが圧倒するようなら、セもDH制導入などの議論もまた出るだろう。

 戦術的に投手交代の妙を見たいのであれば投手が打席に入ったほうがいいし、逆にレベルの高い選手を作るという観点ならDH制があったほうがいい。これは球界の中で大きく意見が分かれるところ。私個人としても答えは見つかっていない。

 日本シリーズが終われば、FA選手の申請期間に入る。球界を代表する選手も資格を有している。FAは選手の権利である。自分の可能性を広げる意味で、新しいチームに行くことを考えるのか、それとも、自分の居場所が確約されているチームで、さらに腕を磨くのか。どんな決断をするにせよ、周りに左右されることなく、自分の将来をイメージした上で決断してもらいたい。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95〜2001年)に2度リーグ優勝

※週刊朝日  2020年12月4日号