西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、元プロ野球選手の清原和博氏の確固たる覚悟を感じたという。



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 久々に清原和博とじっくりと話をすることができた。彼のYouTube番組に出演した。本人から電話がかかってきて、出演オファーが来たから、二つ返事で快諾したよ。

 清原が入団した時に西武でチームメートとなった。私の娘の理子がまだ小さかった時に清原からサインをしてもらったことも覚えている。近年では私の孫にグラブもプレゼントしてくれた。なんだかんだでもう30年以上経過した。

 西武時代の話や、私が「死球を一番与えた投手」、清原が「一番死球を受けた打者」という対談の構図はあったけど、あんなに野球のことを熱心に質問した清原を見て感じたことがある。表情は穏やかで、どこか角が取れてスッキリした。ここまではいろいろと不安な部分もあっただろう。だが、清原の今は、迷いとか、そういった不安なそぶりはまったくなく、自分の目指す方向性を出せている感じを受けた。それが一番うれしい。

 清原は2016年に覚醒剤取締法違反で有罪判決を受け、懲役刑の執行猶予期間(4年)が昨年6月15日に満了した。今年に入って日本学生野球協会から学生野球の指導者になるために必要な資格回復を認定された。実際に指導できるようになるのは、学生野球協会の指導者に関するガイドラインによると、25年6月以降らしい。だが、PL学園で5度の甲子園に出場し、西武、巨人などで歴代5位の通算525本塁打。その実績、経験を伝えることは、野球界にとってもプラスになるはずだ。

 清原は2人の息子に救われたと思う。息子の真っすぐな生き方を見て、自分がふがいない生き方をしてはいけないと感じたそうだ。140キロある体重を110キロまで減らすためトレーニングをしているという。私との対談の時も清原は最後までアルコールを口にしていなかった。その決意は本物だと信じる。

 プロ、アマ問わず、球界に指導者として戻れるかどうかは、厳しいハードルではある。コンプライアンスに厳しい今の時代なら、なおさらだ。まだまだ時間はかかるが、できることから始めてほしい。それが減量であり、ホームランを実演できるようになることであれば、その一つひとつの目標をクリアしてもらいたいと心から願う。

 高校野球も3月にセンバツが行われる。組み合わせも決まった。昨年は春も夏も新型コロナウイルスの影響で大会は中止となった。その無念な思いを抱えた3年生と濃密な時間を共有してきた1、2年生は、大会が行われることへの感謝の思いを、きっとグラウンドで発揮してくれるはずだ。頂点に立つのは1校だけだが、全員が最後まで無事に大会を終えてもらいたい。

 高校野球の成功は、プロ野球開幕へとつながっていく。春季キャンプも無観客で、なかなか選手の息遣いが聞こえてこない。そうなると熱気は生まれてきにくいよね。Jリーグも開幕した。スポーツ界全体で、どこか閉塞(へいそく)感漂う日本に、少しでも活力をもたらせる春となることを願いたい。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95〜2001年)に2度リーグ優勝

※週刊朝日  2021年3月12日号