巨人のエース、菅野智之(31)が5月8日、今季2度目の登録抹消となった。7日の巨人―ヤクルト戦(東京ドーム)で、巨人が2点リードで勝利投手の権利がかかった5回に菅野の交代が場内アナウンスされると、三塁側のヤクルトの選手たちは驚きの顔を浮かべていた。



 緊急降板した理由は右肘の違和感。4回を投げて51球で2安打無失点と完ぺきな結果だが、投球内容を見ると普段の菅野とは違う。直球は11球のみで変化球が8割近い40球。球も走らない。平均球速が150キロ近いが、4回にオスナを右飛に仕留めた直球は140キロ。投球の合間に肘を気にする素振りも見られた。

 菅野は3月26日のDeNA戦(東京ドーム)で開幕投手を務めたが、4日後の30日に足の違和感で登録抹消された。昨年は開幕13連勝を含む14勝2敗、防御率1.97。3度目の最多勝、初の最高勝率(.875)、2度目のリーグMVPを受賞してリーグ連覇に大きく貢献するなど力に陰りはない。懸念されるのが勤続疲労だ。

「菅野も31歳ですからね。入団以来、毎年先発で投げ続けていれば、故障のリスクも当然高まる。心配なのは今回の故障個所が右肘だったこと。球速が普段より10キロも落ちていることを軽症と判断するのは危険です。巨人のエースとして不可欠な存在ですが、長期離脱も想定しなければいけないでしょう」(スポーツ紙デスク)

 東京五輪では侍ジャパンのエースとして期待されているだけに、状態が気にかかる。また、叶えていないもう一つの夢がある。

 昨オフにポスティングシステムによるメジャー移籍を目指したが、メジャーの球団と契約合意に至らず、1億5000万円増となるプロ野球史上最高額の年俸8億円で巨人残留が決定。今オフに海外FA権を行使して再びメジャー挑戦する可能性は十分に考えられるが、雲行きは怪しい。

 菅野の投球を新人の時から視察しているメジャー球団のスカウトはこう語る。

「今はメジャーで活躍している超ビッグネームでなければ、各球団は大金を払って長期年俸を結ぶことに消極的です。米国は日本より新型コロナウイルスの感染拡大が深刻で、各球団の経営状況が厳しいのも背景にあります。菅野の能力は間違いなくメジャーの先発ローテーションに入る力を持っているが、故障が多いのが少し気になる。年齢を考えると大型契約にリスクを感じる球団も多いでしょう。好待遇の契約でメジャーに挑戦するのは厳しいのではないか。年俸がダウンすることも想定しなければいけないと思います」。

 メジャーに挑戦した日本人選手の年齢を調べると、ダルビッシュ有(パイレーツ)、田中将大(楽天)は25歳、前田健太(ドジャース)、菊池雄星(マリナーズ)は27歳で海の向こうを渡っている。黒田博樹が33歳で広島からメジャーに挑戦し、ドジャース、ヤンキースで7年連続2ケタ勝利を挙げるなど通算124勝をマークしたが、珍しいケースだ。

 菅野が黒田のように息の長い投手としてメジャーで活躍する可能性は十分にある。オフの去就が注目されるが、まだペナントレースは4分の1も消化していない。リーグ3連覇を狙う巨人の大黒柱として、1日も早く万全のコンディションで復帰することを願うばかりだ。(梅宮昌宗)