大谷翔平(エンゼルス)は野球の能力以外でも現地で高い評価を受けている。



 穏やかな振る舞いに米国人たちもメロメロ。グラウンド上でのちょっとした他選手への配慮などもたびたび話題となる。

「二刀流に対して懐疑的な意見も聞かれた。でも活躍を見せ始めると称賛の嵐が始まった。西海岸はお祭りごとが好きですからね。周囲の選手たちもスペシャルな選手だと認め始めた。加えて礼儀正しくフレンドリーなので、他球団の選手からも声をかけられる。今のところすべてが順調に進んでいる」(ロサンゼルス在住スポーツライター)

 投手としては勝ち星こそ思ったように伸びないが、先発ローテーションの一角として好投を続けている。打者としても本塁打数がア・リーグ2位タイ(18本※現地15日時点)と結果を残している。そして、二刀流として文句のない成績とともに、人柄もすこぶる評判がいい。ファンやメディアに対する丁寧な振る舞い、対戦相手への敬意を欠かさない姿は、敵味方関係なく大谷のファンを生み出している。

「審判に対しヘルメットに手を当てて挨拶するのは日常の風景。ファウルチップを放ったら相手捕手を気遣う。ネクストバッターズサークルではカメラマンやファンの邪魔にならぬよう気を配る。時間の許す限りファンサービスを欠かさないし、メディアに対しても真摯に対応する。結果だけでなくキャラクターでも愛されています」(ロサンゼルス在住スポーツライター)

 野球の活躍だけでなく日本人的な礼儀正しい振る舞いに、感銘を受ける米国人も多い。試合中もニコニコした表情で本当に楽しそうにプレーし、チームメイトと打ち解けている姿も目に付く。プライドの高いメジャーリーガーたちも大谷を受け入れ、「二刀流」という未知なる挑戦を応援している。

 そして、大谷を見ていて思うのが、イチロー(元マリナーズ他)との違いだ。試合前の準備を徹底するなど、野球に対する姿勢では共通する部分も多いが、ゲーム中の表情や、グラウンド内外での振舞いには大きな違いがあるように見える。

「(イチローは)年々、孤高の存在になっていった。チームが勝てなくなると、モチベーションは自身のプレーのみにもなった。チーム内では孤立、口数が減ることで悪循環となった。日本のみならず米国メディアとの関係も悪化。本人も晩年は割り切ったようだった。野球殿堂入りは確実ですが、米国でも好き嫌いが大きく分かれていました」(スポーツ新聞メジャーリーグ担当)

 メジャーへの移籍当初が最も輝き、楽しそうにプレーしていた。チーム内にも多くのタレントがいて本気で世界一を狙っていた。安打を量産、打率部門では毎年タイトル争いをしてオールスターの常連にもなった。しかし所属したマリナーズの成績は振るわず、孤軍奮闘を余儀なくされた。

「自分をセルフプロデュースした姿で、本当のイチローではない。本当は明るくてよく話す男。目立つのも嫌いではない。また心から尊敬したり憧れた人の前では、子供のような姿をさらけ出す。チーム状態も良くなかったので、自分自身の存在価値を高めるため個人のことに集中した。かなり無理をしていたようだが、それでも結果を残して来たことに頭が下がる」(オリックス在籍時代の関係者)

 イチローはピュアな男でもある。95年にテレビ番組の企画でバスケットボールの神様マイケル・ジョーダン、マリナーズのレジェンドだったケン・グリフィーJr.と対面。子供のようにキラキラとした表情を見せていた姿は、米国でも後に話題となった。だが、試合ではそういった部分は極力見せないように淡々とプレーしていた姿が印象に残る。

「過去のテレビ出演は知っていたから、米国での塩対応には驚いた。日本メディアの行き過ぎもあったが、米国も含めすべてのメディアに対して同様だったため批判も多かった。それでもブレない強さがイチローにはあったのでしょうね。大谷も今後はさらに注目されるはず。大型契約を結びメジャーを代表する選手になれば、周囲の喧騒が今以上に激しくなる。今の姿勢のままで30代もずっとプレーすることはできないはず。その時にどう変化するのかも楽しみです」(スポーツ新聞メジャーリーグ担当)

 結果を出して注目されるほどメディアを含めた周囲との関係も難しくなってくる。実績を重ねれば重ねるほど、期待に応えなくてはとプレッシャーも増す。大谷は今季がメジャー移籍4年目。野球での結果はもちろんだが、多くのアスリートを参考に自らのスタイルを構築する時期にも差し掛かっている。